iPhone 11においては、「量子ドット(QD)」技術を用いた先進的なカメラ機能の搭載が期待されていた中で、これは非常にショッキングなニュースだ。
アップルはiPhoneのカメラセンサーに英国本拠の「Nanoco」の量子ドット技術を組み込むことを検討中とされていた。量子ドット技術が実装されれば暗所での飛躍的な画質向上が見込めるほか、AR(拡張現実)機能のサポートとしても期待されていた。
しかし、Nanocoは先日、「米国で上場する大手企業」との契約を更新しないと発表し、同社の株価は6月21日の市場で74%も急落した。アナリストらはここで述べられた米国企業がアップルであると推測したが、その後の調査企業BlueFin Researchのレポートで、関係筋の証言として「アップルが量子ドットカメラセンサーの採用を、コストが高いことを理由にキャンセルした」と伝えられた。
BlueFinによると、アップルは量子ドットカメラセンサーの代わりに3Dレーザーマッピングに関心を示しているという。しかし、3Dレーザーを用いた新たなテクノロジーが完成するのは、早くても2020年以降になるという。
iPhone 11の発表が迫る中、このタイミングでキャンセルが伝えられたことはアップルに大きな打撃を与える。量子ドットカメラセンサーは、微細な光の粒子を正確かつ効率的にコントロールできる技術として注目を集め、競合のスマホメーカーに大きな差をつけるものとして期待されていた。
iPhoneのカメラ性能はここ最近、格安の競合製品にも劣っていると伝えられており、先端的技術の採用はアップルにとって最重要課題だった。
アップルが2019年に発売するiPhoneが見劣りするモデルになることは、この報道でさらに鮮明になった。一方で、2020年のiPhoneに関しては5G対応を果たし、5.4インチの小型の端末の発売も予想されており、iPhone SEのようなコンパクトなモデルを好む人にも喜ばれそうだ。
ここまで述べてきた状況を考えると、新型iPhoneの発売を待ち望む人は、今年の新型モデルの購入は控え、来年の新機種を待ったほうがいいのかもしれない。