また、先日、僕のフランスのおじいちゃんである“味覚の権威”ジャック・ピュイゼさんから、「潮風が吹く場所では、人は自然にミネラルを摂取している。だから料理に塩を多用せず、旬の素材だけで十分。地中海式ダイエットは、そんな場所だから成り立つんだよ。フランスの内陸と沿岸部は塩加減が違うよ」と聞き、妙に納得したのでした。
そう言われて調べてみると、日本も内陸と沿岸部で醤油の塩の濃さ、味噌の塩の濃さは違うようです。これは面白い発見でした。
東京で「風」を感じられない弊害
「風」については、いろいろなところで問題が発生しています。まず、首都である東京で自然の風を感じるか?
東京では、汐留の大きなビルが字のごとく風を止め、銀座や新橋は2、3度気温が上昇するなど、生態系に問題を引き起こしてると言われています。それも深刻ですが、個人的には、それ以上に「風を感じることがなくなったこと」に危惧を覚えます。
仕事して、酒を飲んで、愚痴っていても、風を感じてストレスを解き放ち、どこか希望を感じていたはずが、今は風といえばエアコンばかり。そりゃ、なかなかストレスも減らないですよね。
自然と共に暮らしてきた日本人ですが、自然災害を受けた震災後は東北の沿岸部にも大きな壁ができ、そのお陰と言うか、これが原因でというか、街で風を感じることがなくなったとも聞きます。もちろん、景色も変わりました。壁を作り街を守ることは正論かもしれませんが、せっかく感覚を持って生まれてきたのに、頭で理解するだけで良いのかとも考えてしまいます。
リゾートとバカンスとクリエイティブ
ちなみに、リゾートの語源は以前も伝えましたが、一説では、フランス語の「re(再び)」「sortir(外に出る)」と言われており、そう考えると、世界中のどのリゾート地も、また戻りたくなるような自然に癒される場所だなと思います。リゾート地はいつでも戻ってこれる場所、観光地は一度行けば満足する場所という感じでしょうか。
また別の説では、「re(戻る)」「solt(塩)」という説もあり、リゾート地の多くが、ミネラルをたっぷり感じられる海や山にあるというのも納得できると思います。自然との共存、人としての健康のことを考えると、ただただ正しいことを合理的にするのではなく、自然を感じる環境を作ることが大切のようです。
世界中からニースや南仏にバカンスに遊びに来ている人たちを見ていると、自然を感じるから、自由な発想というか、自然な発想が生まれているようです。だから、リゾートで時間を過ごすことがクリエイティブには重要で、バカンスと言う息抜きが仕組みになっているように思います。
どうしてカンヌで、世界的な映画祭や広告祭が行われているのか。そんなことにも繋がるのではないでしょうか。気づけばもう6月も終わり、ヨーロッパではもう少しでバカンスに突入です。さ、大きく息をして息を吸って、脳を解放して、自由になってください(笑)。
連載:松嶋啓介「喰い改めよ!!」
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