つい先日、私用でマルセイユへ行きました。普段は車で行くのですが、珍しく電車に揺られながら向かっていると、20年前の自分の記憶が蘇ってきました。20年前、リヨンから南下し、マルセイユ経由でニースに移動する電車の中、キラキラ光る地中海を眺め、僕は希望に胸が高鳴るのを抑えながら新しい土地に向かっていました。
今回、その旅路を電車で逆走していると、当時の気持ちが思い起こされ、「初志貫徹を忘れてはいけないな」と、哀愁に浸っていました。
ところがマルセイユに到着し、駅を出て、強い日差しを浴び、風を感じると、記憶がすべて飛んで、解放されたような気持ち良い感覚になりました。「やってやるぞー」と、活力がみなぎってきたのです。日差しや風を肌で感じることで、触感が作動し、脳で考えることを辞めたからではないかと思います。
潮風が吹くからリラックスできる
個人的には、殺伐とした雰囲気であまり好きな街ではないですが、マルセイユはヨーロッパの主要な貿易港で、フランスの第2の都市です。また、アフリカへの入り口とも言われたりもするなど、歴史的にも重要な街でもあります。
フランス人は極端で、このマルセイユが熱狂的に好きな人もいれば、この物騒な感じを嫌う人もいます。これまでなぜだろうと疑問でしたが、風が吹き、解放感を得られる街だから、自然体で(ときに野生的に)いられるからかなと、今回の移動で初めて理解できました。
歴史を学ぶのはいつも面白いのですが、現在のマルセイユは古代ギリシア時代にはマッサリア(Massalia)と呼ばれ、「塩の家」という意味だったようです。
「人はミネラルを摂取すると、心身共にリラックスする」と、以前、盟友石川善樹から聞いた事ことありますが、そのミネラルは食べ物で摂取するのか、それ以外の方法で得るのか。マルセイユでは、吹き荒れる潮風からもそのミネラルを得ることができるんだなと感じました。
言葉はいつもちゃんと未来に何かを伝えようとしている。面倒くさいと思わずに過去からのメッセージを読み取らなくてはいけないなと思います。
マルセイユでふらり入った店。かわいらしくいい店だったが、料理は塩分が濃く感じた