チームライダーのキミー・ファサニ(35)は、2018年3月に息子コアを出産した後も、プロスノーボーダとしてのキャリアを継続していく決断をした。
今年5月、スイス・チューリッヒに各国のウイメンズライダーが集結したラウンドテーブルでは、女性の社会的な地位や権限についてアウトドア業界での現状や、女性アスリートとしてのキャリアについて話し合った。バートンのサラ・クロケットCMOは、チームライダーの気持ちに刺激を受け、米国に帰国した翌日にニューヨーク・タイムズに掲載されたある陸上選手の記事を読むと、すぐに契約変更のアクションを起こした。
その陸上選手は、アリシア・モンタノ(33)だ。陸上女子800mのレースに、2014年に妊娠8カ月、2017年に妊娠5カ月の時に、丸みを帯びたお腹で走る姿が話題となった。だが、「JUST DO IT.」をキャッチコピーに掲げるナイキが、アリシアを含む妊娠した女性アスリートに対して、報酬支払いの一時停止やスポンサー料の減額をしていたことが報道で分かり、大きな批判を受けた末に、待遇改善を迫られる流れとなっている。
陸上選手のアリシア・モンタノ(Shutterstock)
こうした動きを受け、ウイメンズチームライダーの妊娠中と出産後の活動をサポートするバートンの契約変更は以下の通り。全ての項目は「バートンは、」という文言で始まる。
・妊娠を病状とは見なしません。
・妊娠や出産を理由に、基本報酬の一時的支払い停止や減額をすることはしません。(6カ月)
・ライダーが妊娠した場合、契約上の義務における合理的配慮について話し合いをします。
・妊娠や出産を理由に契約解除することはしません。
・授乳期間中の移動に必要な付添人の航空券、または同等の費用を負担します。
さらに、サラはチームライダーに向けて心温まるコメントを発表した。
「私たちは全てのチームライダーを尊敬しています。そしてスノーボードに対する大きな貢献にも感謝しています。しかし、私たちの関係はそれ以上のものです。家族が増えることになっても、私たちの関係は変わりません。それこそが私たち、そして皆さんにとっても最も重要なことなのです」