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2019.06.26

世界のベストレストラン50発表、日本からは「傳」と「Narisawa」

世界のベストレストラン50の表彰式にて(c)The World's 50 Best Restaurants

シンガポールの統合型リゾート、マリーナベイサンズで6月25日、アジアでは初となる「世界のベストレストラン50」の表彰式が開催された。

世界1040人の投票者によって今年世界一に選ばれたのは、アルゼンチン出身のマウロ・コラグレコが南仏・マントンに店を構えるフランス料理「ミラズール」。表彰式には、マントンからだけでなく、香港やバンコクからもかつてのスタッフが集まり、シェフの出身地のアルゼンチン、レストランがあるフランス、妻の出身地であるブラジルなどの国旗を縫い合わせた旗を持ってこの瞬間を祝った。

18回目の開催となる今回だが、フランス料理が世界一になったのは初めて。今年のトピックは、「ベスト・オブ・ザ・ベスト」が新設されたこと。一度世界一になったレストランは今後ランクインすることはなく、順位の動きが活性化するように取り計らわれた。

去年世界一に輝いたマッシモ・ボットゥーラは、「若い人たちに道を譲りたい」と話し、今後もフードロスを減らし、路上生活を送る人々に尊厳ある食を提供するレストラン、レフェトリオなどの活動を進めていく。

10位以内では、去年のリストからオステリア・フランチェスカーナ(イタリア、昨年1位)、アル・サリェー・ダ・カン・ロカ(スペイン、同2位)、イレブン・マディソンパーク(米国、同4位)の3店が抜け、一気に代替わりした印象だ。

去年18位だった、バルセロナのスペイン料理ディスフルタールが9位に、19位だったモダン北欧料理のゼラニウムが5位にランクアップ。また、昨年は改装中だったためにランクインせず、今年は新店とみなされるようになったモダン北欧料理のノーマが、「ハイエスト・ニュー・エントリー」として2位に輝いた。

世界一となったコラグレコシェフは、かつての師であるアラン・パッサールシェフ(アルページュ、8位)、アラン・デュカスシェフ(アラン・デュカス・オー・プラザ・アテネ、16位)を抜き、「ベスト・オブ・ザ・ベスト」の殿堂入りをした。



日本は、里山キュイジーヌの「Narisawa」が去年と変わらず22位、そして、今年3月にマカオで行われた、アジアのベストレストラン50でシェフズチョイスアワードに選ばれた日本料理「傳」が17位から11位へ順位を上げた。傳はさらに、「アート・オブ・ホスピタリティ賞」を受賞し、アジアのベストレストラン50でも、世界のベストレストラン50でも、ホスピタリティ賞を受賞したことになる。

日本評議委員長の中村孝則氏は、「日本からは2店舗だけの50位入りだったが、大健闘と言って良い」と評価。「世界の誰もが認めるもてなし力が証明されたということ。日本、そして日本人が誇るべきことです。3位に入ったエチェバリや、ハイエスト・クライマー賞に輝いたアズルメンディなどのバスク勢は、間違いなく昨年の開催地優位が働いている」と語った。
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文=仲山今日子

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