ゴミ問題と食料問題を一度に解決 勢いづく東南アジアのディープテック

(画像はイメージ、Shutterstock.com)


インドネシアはイスラム圏なので、豚を食べることが禁止されており、代わりに鳥を食べます。そのため、鳥肉の需要が非常に高く、おまけに人口増加で生産量を拡大しなければならなくなってきています。しかし、法律で成長促進剤を使うことを禁じられているため、産業が伸び悩んでいるのです。

そこで、彼女は使い捨てられたパームオイルの果実から、高純度の多糖体を取り出し、鳥を成長させるエサに変えることで、廃棄問題と鳥の産業問題を同時に解決させるアイデアを形にしたのでした。

競争するより手を組む方が…

社会課題を背景にもつ彼らのモチベーションには凄まじいものがあります。そのため、東南アジアのテックシーンは今、世界中から注目されています。

しかし、彼らの研究やアイデアが、まだまだ荒削りなのも確かです。そこに、熟練の技術や経験を持つ日本の企業がうまくコラボレーションしたり、サポートに回ったりすることで、彼らの力になる機会を持てるかもしれません。

実際にいろんな国々を訪れるとわかるのですが、ある産業が発展する背景には、必ずその国特有の課題があります。つまり、それぞれのタイミングによって、やるべきことが違うのです。ならば、進化の促進が見込める東南アジアに対して、日本は競争をするより、どう組み合うことができるかを考えた方がいいのではないかとも思います。

それぞれの国が迎える局面や事情は様々ですが、国も個人もインターネットでいつでも繋がれる今、もはやひたすらに競争しあう時代は終わりに向かっているのかもしれません。これからは、お互いにあるもの、ないものをうまく組み合わせることで、国同士の枠組みを超えた技術の進化がさらに発展していく世の中になるのではないでしょうか。

連載 : 働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
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文=尾原和哲

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