米中貿易戦争、1ドルショップが価格引き上げを検討

(Photo by Joe Raedle/Getty Images)


アメリカ国勢調査局が2017年に公表したデータによれば、アフリカ系アメリカ人世帯の年収中央値は3万9490ドルで、まさにダラー・ツリーの利用客に当てはまる。

とはいえ、1ドルショップに足しげく通っているのは低所得者ばかりではない。世帯収入が7万ドルを超える層も、ディスカウントショップで買い物をすると認めている。

ダラー・ツリーは、売上の伸びを維持するため、競合する大手他社の戦略をまねたいと考える可能性がある。ダラー・ゼネラルは、アフリカ系アメリカ人が年間5400万ドル近くを注ぎ込んでいるヘルスケアと美容分野の取り扱い商品を強化していく予定だ。さらに、食の砂漠(food deserts)と呼ばれる、スーパーマーケットや生鮮食料品店が近くにない地域を、次の大きな成長機会としてターゲットにしている。米農務省の報告書によると、アメリカでは2350万人が食の砂漠で暮らしている。

ダラー・ツリーは5月末、第1四半期の業績を発表。利益はアナリストの予測を上回ったが、同社株価は2019年に入ってから6.5%低下している。

同社の第1四半期売上は51億ドル(約5470億円)だったが、関税による悪影響が強まる見込みから、第2四半期と2019年度の売上予想は下方修正された。

コストコやウォルマートなど、その他の大手小売店も、関税の引き上げが価格上昇を招く可能性があると警告している。ウォルマートは2018年、新たな価格戦略を開始。低価格志向の消費者を獲得し、同消費者層で優勢を誇る1ドルショップを王座から引きずり降ろそうとしている。

証券会社レイモンド・ジェームズは、大手小売店がディスカウントチェーンに与える価格インパクトについて分析している。「洗剤やシリアルなど消耗品のナショナルブランド(メーカーが商品につけたブランドのことで、プライベートブランドの対義語)につけられたウォルマートの価格は現在、ダラー・ゼネラルより4.4%、ファミリー・ダラーより6.5%安くなっている」とのことだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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