また、paildは入金した金額分だけ決済が行える“ウォレットサービス”のため、出張や広告費の出稿など、急な出費が伴う場面でもクレジットカードのように与信を気にすることなく決済が可能。従来の法人カードと異なり、「カードの発行・停止・個別の利用上限額の設定・ユーザーの権限管理」など、全てがオンラインの管理画面で完結するので社員が無駄使いしないよう管理することもできるという。
paildが解決する課題
Handii代表取締役社長兼CEOの柳志明は、JPモルガン証券投資銀行部門でM&Aや資金調達についてアドバイスを行っていた経験を持つ人物。「起業当初から、このサービスを開発しようと思っていたわけではないんです」と語りながらも、なぜこのサービスの開発に行き着いたのか。その経緯について、柳は創業当初の苦労を話す。
利用上限金額は月30万円、これでは急な出費に対応できない
「起業当初に法人クレジットカードを発行したときのことです。 まず発行したときの利用限度額が、たったの月30万円だったことに驚きました。この金額だったら、個人のクレジットカードの利用限度額の方が大きい。
会社を設立したばかりのときは、月30万円でも何とかなっていたのですが、途中でどうしても広告を打つ必要があり、利用限度額を月300万円まで引き上げてもらえないか、とお願いしたんです。事業的にも急いでいて、何度か催促したのですが、2〜3週間ほど待って実現できたのは、たった月60万円。 そのときは仕方なく、小さく広告を打って何とかごまかしたのですが、これは多くの起業家が困ることじゃないかな、と思ったんです」(柳)
クレジットカード会社からすれば、カードの利用上限金額を上げることは追加融資をするようなもの。特にまだ売上が立っていないスタートアップに関しては数年後、倒産している可能性の方が高く、追加融資はより一層リスクが高くなってしまう。
ただ、柳は「私が求めていたのは“追加融資”ではなく、“オンライン決済したい”というものだったんです。この認識のギャップに違和感を覚えました」と言い、実際、周りのスタートアップの経営者にも話を聞いてみると、クレジットカードの利用上限金額の問題はどの会社にも存在しているペインであることがわかったという。