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 企業業績が発表される2月上旬は、株価が乱高下する「下克上」現象が起こりやすい。筆者は、安倍政権下の「下克上」を通じて、新しい投資トレンドの誕生を予想する。

いま、ちょうど2014年12月までの四半期の企業業績が出揃おうとしているところだ。全体のトレンドとしては悪くない。下方修正よりも上方修正が多く、減配よりも増配が多い。そして、決算が多く発表される時期によくみられる「下剋上」現象が、今回も発生している。

 上下関係から発生する緊張感を解き放つ機能を持つ下剋上が日本で生まれたのは、自然なことだったのかもしれない。そして多くの「伝統的な日本」のものと同様に、この言葉も足利氏が実権を握った室町時代から広く使われ始めたものである。(中略)

 株式市場における下剋上現象とは、優良企業がよい業績を発表しても、それが「期待を上回らなければ」株価が下がり、非優良企業が「予想どおり」によくない業績を発表しても株価が上がるというものである。業績発表の時期は「予想ゲーム」の均衡が崩れ、それが原因で下剋上現象が発生する。そして、「織り込み済み」や「出尽くし」という言葉を使って、唐突にモメンタムが変わったことを正当化するのだ。

 この時期、私のようなロングとショート双方のポジションをとる株式投資家で、クオリティ・バイアス(優良の銘柄選択)に基づくポートフォリオを持つ人には、フラストレーションのたまる1〜2週間になる。例年、2月の第1週が私にとっては1年で最悪の1週間になることが多く、足利氏への敬意など、どうでもよくなってしまう。まるで、マーケットが「福は外、鬼は内!」と言っているかのようなのだ。

 この業績発表の季節の下剋上が、安倍政権下(安倍時代)でも発生し続けていることは興味深い。これには、2つの理由があるのではないだろうか。

 1つ目は、安倍時代になってから多くの株が値を上げているため、利益を出して売却できる銘柄が多いことである。実際に、優良銘柄の下落率が非優良銘柄の上昇率よりも大きいことが、安倍時代の株式市場における下剋上を象徴している。

 2つ目に、新しいコーポレートガバナンスの世界では、業績の良し悪しの差が大きくなってきていることである。これはそれぞれの産業内で特に顕著である。つまり、ミーン・リバ
ージョン(相場変動の平均回帰性)がこれまでよりも大きくなっている、ということだ。

 私は、ミーン・リバージョンを前提とする日本株投資は今後、主流から外れていくと考えている。とはいえ、下剋上の時期があるからミーン・リバージョンは存在するのである。そして、1〜2週間が過ぎると、相場はまた落ち着きを取り戻し、妥当な価格の優良企業は上昇基調へと戻る。そう、まるで比叡山の狂った僧侶たちが京都を襲い、街を混沌とした状況に陥れた後にまた山へ戻っていった、あの法華一揆のように。

 ところで2月上旬、私はTDK本社が一部の投資家を対象に開いたミーティングに参加した。外資系投資会社から何人かの日本人が来ていたものの、白人は私だけだった。日本人投資家たちは、誰もが当然するような質問をたくさんしていた。特に、配当と、TDKが今年の5月に発表するかどうかもまだわからない同社の中期計画について詳しくきいていた。この2つのテーマに関する質問に時間の3分の1ほどが費やされた。結局、他のどのテーマよりも多くの時間を割いた格好だ。
 TDKはこれらになかなかうまく答えていたが(それもあって私はTDK株を買った)、ここ半年ほど日本人投資家や日本企業と話をするなかで、国内投資家の関心が長期的な株主リターンへと移ってきていることを心強く思う。

 イエス・キリストも「貧しい人々はいつもあなたがたと共にいる」と言っているが、きっといつの時代にも何らかの形の下剋上はなくならないのだと思う。しかし、株主重視の優良企業がそうでない会社よりもよい業績を挙げるなか、長期におけるパフォーマンスの格差は安倍政権下では明らかに大きくなってきている。そして新しい報酬システムが導入されれば、これはさらに大きくなるであろう。
(以下略、)

文=デービッド・スノーディ

 

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