テクノロジー

2019.06.27 08:30

中国のAIファッションデザイナー、「DeepVogue」の実力

(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

気になる服の写真を撮影してウェブ上に投稿すると、人工知能(AI)が該当商品やおすすめを提案する──。ファッション業界では、そのような画像認識技術を応用したサービスが実用化されてきた。これはユーザーの検索やショッピングをサポートする技術のひとつだが、今後はAIがファッション業界においてより中心的な役割を果たしていくかもしれない。

中国でDeepBlue Technologyというスタートアップが注目を浴びている。2014年に上海を拠点に設立され企業で、服をデザインするAI「DeepVogue」を開発している。

DeepBlue Technologyは、先ごろ開催された「中国ファッションデザイン革新大会」に参加。約50名の審査員が見守るなか、16チーム中2位の成績を上げた。同大会は、中国服装協会と上海ファッション都市推進センターが共同で主催した大々的なイベントで、フランスのESMOD、ヨーロッパ・デザイン学院(Istituto Europeo di Design)、 北京服装学院(Beijing Institute Of Fashion Technology)、清華大学美術学院、香港理工大学などファッション名門学校が参加チームとして名を連ねていた。

DeepBlue Technologyの“AIデザイナー”が生み出した作品は、審査員から高い評価を受けた。中国ファッション業界の開拓者として呼ばれるMark Cheung氏は、DeepVogueがデザインした作品は、国際的なファッションショーのランウェイに登場してもおかしくないと賛辞を送っている。

他の審査員たちも、人工知能がデザイナーを完全に代替することは難しいかもしれないが、ビックデータを活用しユーザーの美的感覚をデザインに落とし込むというアプローチには未来的な展望があると評価した。

DeepBlue Technologyは、4月に開催された「アジア太平洋地域・知識発見およびデータマイニング学術界」(PAKDD 2019)の「Automatic Machine Learning Challenge」でも優勝を果たしている。同大会には、北京航空宇宙大学、清華大学など中国の代表する研究チームが参加していた。

なおDeepBlue Technologyは、ファッションに特化したAI企業というわけではない。今後、スマートロボット、自動車、流通、セキュリティ、スマートシティなど、より広範に自社のAIを実装していく計画だとしている。中国では、センスタイムやアイフライテックなど世界的な知名度を誇るAI企業があるが、DeepBlue Technologyもその一角となるか注目したい。

文=河鐘基(ハ・ジョンギ)

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