オランダには、特に発展している分野がいくつかある。生命工学では、ラトバウト大学、アムステルダム大学、アムステルダム自由大学が発展に貢献しており、電動車両交通では、充電ポストのためのスマートソフトウエアや電気自動車、ナビゲーションシステムといった分野でのイノベーションが盛んで、多くの投資を集めている。
医療も成長中のセクターだ。ローラント・パターが最高経営責任者(CEO)を務めるノリ・ヘルス(Nori Health)は、クローン病などの慢性腸疾患を抱える人が生活の質に悪影響を与えるライフスタイル要素を特定し、変えることができるよう支援するチャットボット式デジタルアシスタントを開発している。
パターは「オランダのスタートアップによる市場へのイノベーション導入を支援する政府やEUの取り組みが増えている」と説明。「例えば私たちは、『EUホライズン2020』プロジェクトから助成金を得て、最初の試作品を作ることができた。この機会なくして私たちが成功できたかどうかは分からない」と述べた。
ノリ・ヘルスは1月、クローン病・大腸炎財団と提携して初の試験を実施し、良い成果を出した。現在は、今年末までのサービス開始に向け準備中だ。
ビジネス資金調達も改善しており、スタートアップに対する資金提供と機会が増えている。2015年にアムステルダムでデジタル企業デプト(Dept)を創業したディミ・アルバース最高経営責任者(CEO)は、ここ5年でスタートアップエコシステムが強化されたと語る。
「多くのインキュベーターが現在オランダに進出しており、スタートアップ向けコワーキングスペースが至るところに現れている。テック分野でオランダのスタートアップの多くが成功・拡大したおかげで信頼が向上し、利用可能な資金源も増えた」(アルバース)
アルバースによると、英国のEU離脱(ブレグジット)も良い影響を与えている。アムステルダムとオランダは多くの企業にとって、英国に代わる拠点として自然な選択肢となっており、よって投資も増えている。