ビジネス

2019.06.27

ウーバーイーツはIPOを申請した親会社の「秘密兵器」となるか

ウーバーイーツ立ち上げに関わり、現UberEverythingの担当副社長であるジェイソン・ドローギ氏


ジェイソン・ドローギ(40)はこの質問を何度も受けてきた。彼はトラビス・カラニック前CEOの下で14年にウーバーイーツを立ち上げた。以来、ウーバーの初期投資家たちの厳しい声に対応している。彼らは、同社がドットコム・バブル時代に弾けた同業のウェブバン社やコズモ・ドットコム社と同じ轍を踏むのでは、と危惧しているのだ。だがドローギはそうした懸念を一笑に付す。

「世の中の誰もが競争の激しい市場だと私たちに言ったものです。でも、私たちが立てた仮説はそうではありませんでした」

群雄割拠のフードデリバリー業界

デリバリーで稼ぐのはたやすいことでない。確かに、ウーバーイーツは飲食店からコミッションと配達料金を取っている。だが、その額は平均2〜8ドル。ウーバーは同時に、フードをピックアップして客先へ配達するドライバーへの支払いや、マーケティングをする必要がある。ウーバーのコミッションは競合と比較しても低めだ。

加えて、業界最大手の上場企業「Grubhub(グラブハブ)」が18年に推定10億ドルの売り上げを達成し、利益を出せることを証明した。ほかにも米国内だけで、スクエア傘下のキャビア、豊富な資金をもつ新興企業のドアダッシュやポストメイツ、さらに虎視眈々と市場を伺う“巨人”のアマゾンと競合する。

コスト削減のため、ウーバーイーツは複数の注文をひとまとめにしている。そうすることでドライバーは、複数の場所に届ける宅配用フードを一度にピックアップできる。同一ルート上のレストランからのデリバリー料は無料にすることで、利用者へのメリットをアピールしている。

さらなる成長のため、ウーバーイーツはより多くの利用者と飲食店を獲得する必要がある。ドローギは、マクドナルドやスターバックスと提携したことで、利用者がウーバーイーツのアプリを使うはず、と踏んでいる。またウーバーはグラブハブを模倣し、高めのコミッションで飲食店に専用デリバリーサービスを提供している。

はたしてウーバーイーツに投資する価値があると投資家たちは判断するだろうか?

それはドローギの腕にかかっている。


ジェイソン・ドローギ◎「UberEverything(ウーバー・エブリシング)」担当副社長。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒。35カ国350以上の都市で料理を配達するサービス「ウーバーイーツ」を立ち上げた。

文 = ビズ・カーソン 写真 = ティム・パネル

この記事は 「Forbes JAPAN 100年「情熱的に働き、学び続ける」時代」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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