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2019.06.24

直接上場した米Slackへの投資を勧めない4つの理由

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3. 現金燃焼率が非常に高い

スラックが「燃焼」させた手元資金は、昨年が9700万ドル、今年第1四半期は3420万ドルだった。公平を期すために言えば、同社の貸借対照表には、7億9200万ドルの現金があると記載されている。だが、現金燃焼率が非常に高いことを考えると、IPOではなく(新たに資金を調達することができない)直接上場としたことは、賢い選択ではなかったといえる。

4. 投資家を重視しない企業統治

スラックの目論見書によれば、「デュアル・クラス株式」構造によって、同社の議決権は65.6%を幹部と取締役らが保有している。スチュワート・バターフィールド最高経営責任者(CEO)の経営方針が気に入らなかったとしても、その他の株主にはどうすることもできない。

上場に伴い、一部の株式はクラスが転換されていることから、現時点ではその支配権は弱まっているとみられる。だが、それでも同CEOには、取締役の選任、会社の売却、他社との合併を決める権利が認められている。ケンブリッジ大学で哲学の修士号を取得したバターフィールドは、米Yahoo!に買収された写真共有サービス、Flickrの共同創業者だが、公開会社を経営した経験はない。

今後、同社が成長に関する投資家の予想を四半期ごとに上回り、採算の取れる企業なれば、投資に適した企業になるだろう。売上高が伸びる可能性はある。だが、採算性についてはどうだろうか。同社株の購入は、お勧めできない。

編集=木内涼子

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