2011年創業のダイナミック・イールドは、提供するサービスのパーソナライズを支援する技術を開発。現在はニューヨークに拠点を移している。同社が先ごろ開催した「ブランドはいかに個人レベルでマーケティングを行い、販売につなげることができるか」をテーマにしたイベントでは、マクドナルドのグローバル最高マーケティング責任者(CMO)、シルビア・ラグナドが基調講演を行った。
イベントのアジェンダによれば、ラグナドの講演の内容は、「毎日来店する7000万人近い顧客・・・多様な顧客それぞれと1対1の関係を維持するには、どうすればいいだろうか」という疑問に関するものだったとみられる。
マクドナルドはフランチャイズ店舗を中心に、100カ国以上で約3万8000店を営業している。
新技術の効果
スティーブ・イースターブルック最高経営責任者(CEO)は今年4月の決算発表で、すでに米国内の700のドライブスルー店舗でダイナミック・イールドの技術を導入し、顧客に勧める商品を時間帯や天候、売れ行きなどによって変えていることを明らかにした。
マクドナルドはこの技術によって、来店客からリアルタイムで収集したデータに基づき、お勧めの商品を決めるなど、ピークの時間帯の業務をよりスムーズに行うことができる。
イースターブルックは、「セルフオーダーのキオスク、世界的に展開しているモバイルアプリを通じた販売を含め、長期的にはこのテクノロジーをわが社のデジタル・プラットフォーム全体において機能するものにしていく」と述べている。
「社内におけるテクノロジーのエコシステムがリンクされれば、それは顧客にシームレスな購買体験を提供する。わが社は顧客の注文プロセスに決定理論を取り入れる最初の実店舗型小売業者の1社となり、その特典を生かすことができる」
そう、ここでキーワードとなるのは、「シームレス」だ。デジタルで注文するキオスクを急速に増やし、モバイルでの注文と決済、オンライン注文とウーバーイーツを通じた宅配に力を入れているマクドナルドにとって、顧客を増やし、維持する上で「シームレス」の概念は決定的に重要だ。
だが、マクドナルドのアプリに関するオンラインのレビューを見れば、「クーポンが使えない」「フリーズする」など、同社が解決すべき問題がまだ数多く残されていることは明らかだ。