──何かのきっかけで決断できる人間に変わったのでしょうか?経営しながら、進化していったのでしょうか?
プロサッカー選手になることを挫折したときに、プロになれなかった理由を50項目くらいノートに書きだしました。その中に、「決断力がない」とか「失敗を恐れている」といった項目が入ってきました。自分の失敗体験をベースに仕事を始めたことが、決断できる経営者になれた要因だと思います。決断力がないことは問題だと気づくことができたからこそ、変わるために踏み出せたのだと思います。
一流人材は自分の能力を客観的に俯瞰している
──自分を客観的に分析することが重要なのですね。
はい、自分を俯瞰的に見て、必要なものは何かを焦点化し、努力をすることは重要です。大谷翔平選手、本田圭佑選手、さらにはイチロー選手もそうですが、非常に若い頃から自分を俯瞰的に見ることができています。
大谷選手が高校1年生のときに書いたビジョンシートには、自分の人間的な課題や克服するポイントなどが事細かに書かれていました。俯瞰的に自分を見ることができているので欠点がわかる。欠点がわかっていれば、それを直していけます。多くの人は、自分の欠点が見えていないのだと思います。私は、サッカーをやり続けたことにより、自分の何が悪かったのかについて振り返ることができました。
──起業の場合は、必ずしもロジックだけを根拠にして決断できない部分も多々あるかと思います。樋口さんが決断の際に重視していることがあればお教えください。
「結果が全てである」という意識は欠かせません。結果が伴わなければ、どんなにプロセスに注力しても意味がありません。つまり、結果が出るような決断をするということです。決断したことに責任を持ち、絶対に結果を出すと決意することを重視しています。
また、創業当初から「すべてをオープンにする」ということも意識しています。赤字の時もすべて公開しましたし、全部署の進捗状況もボードに書いて公開しています。そうやって情報をオープンにすることで、全てのリスクは数値化や顕在化が可能になります。すると、不安や迷いといったモヤモヤした気持ちが晴れて、リスクを恐れずに決断に至ることができます。「数値化できないものはない」という気概のもと、すべてをオープンにして決断しやすい土壌を作っています。