Mutricsのスマート・オーディオ・サングラスは、外見がレイバンの人気モデル「ウェイファーラー(Wayfarer)」に似ており、スマートグラスにありがちなガジェット臭さを払拭している。フレームは通常のサングラスより少し太いが、Bose Framesや、「Zungle」の骨伝導スピーカー内蔵サングラスよりも細く、この中にバッテリーや小型スピーカー、クアルコム製チップセットが内蔵されていることに驚かされる。
Mutricsのスマート・オーディオ・サングラスは、BoseやZungleの製品と同様に、周囲に音漏れしないように設計されている。ただ、Zungleが骨伝導、Boseがノイズキャンセリング・アルゴリズムと、いずれも高度なテクノロジーを採用しているのに対し、Mutricsはユーザーの耳の近くにスピーカーグリルを設置しているに過ぎない。公共の場で利用しても、多くの場合は気にならないが、静寂な場所だと周囲に音が漏れてしまう可能性がある。
右側のフレームには、「一時停止」、「再生」、「スキップ」を操作するためのボタンが3つある。また、このスマート・オーディオ・サングラスはSiriとグーグルアシスタントに対応している。電話に応答することもできるが、試してみたところ、マイクが口から離れているため、通話相手に筆者の声が聞こえにくかった。筆者が暮らす香港の雑踏を歩きながら通話するのには向いていないかもしれない。
音質は、聴く曲によって大きく異なる。低音が弱いため、ヒップホップは単調に聴こえる。中音と高音はクリアなので、ポップ・ミュージックは悪くないが、個人的にはポッドキャストを聴くのに最適だと感じた。
ヘッドホンと比べると音質は格段に劣るものの、Mutricsならではの良さも感じた。例えば、スピーカーグリルがオープン型のため、音楽を聴きながらも周囲の音を聞き逃さずに済む。また、サングラスを兼ねているため、ランニングやサイクリングをする人にとっては利便性が高い。防水性能は「IP55」で、度付きレンズに交換することもできる。
充電はUSB-Cケーブルが使えると便利なのだが、残念ながら独自のpogo pinケーブルを使う必要があるため、紛失すると厄介だ。ただ、フル充電で8時間音楽を聴くことができるため、充電頻度はそれほど多くなくて済みそうだ。
Mutricsのクラウドファンディングキャンペーンは、既に目標額を達成している。キャンペーン終了後は、109ドルで販売される予定だ。