しかし、1カ月に1冊も本を読まない読者習慣のない人の割合は47.5%(文化庁調査より)にものぼる。若手のビジネスパーソンにとっても他人事ではないだろう。今回のイベントでは、108人ものベンチャー経営者が、それぞれの”推し本”と”推しコメント”で、どの本を読めば良いのか迷っている若手ビジネスパーソンへオススメのビジネス書を紹介した。
新たな書店の価値観の提案
渋谷は道玄坂にあるおしゃれなカフェといった趣の店内に入ると、まず壁一面に貼られた108人の選書者一覧に圧倒される。これほど選書者が多いブックフェアはまず他では見られない。選書者には、サイボウズ青野慶久代表取締役社長、Gunosy長島徹弥最高執行責任者、面白法人カヤックの柳澤大輔CEO、お金のデザイン中村仁CEOをはじめ、錚々たるベンチャー企業の経営者が名を連ねる。
また「金融・不動産」「Tech」「HR」「ライフ」「マーケティング」「シェアリングエコノミー」と選書者の業界別に”推しコメント”とともに本が並ぶのも特徴的だ。「弊社のミッションは『生活者が動く”新しい価値観”を創る』です。今回のイベントでは『本のジャンルではなく、選書者でレイアウトした本屋』という書店の新しい価値観を提案したかった」とオンヨミの大宮英嗣代表取締役は企画の意図を語る。
日本を代表するような大手企業経営者の愛読書はさまざまなメディアで紹介されているが、ベンチャー経営者の場合は、まだまだ少ない。「日常的に利用しているサービスを運営している企業の経営者が推す本なら、身近に感じ気軽に本を手にしやすいと考えた」とフライヤーの大賀康史CEOはベンチャー経営者を選書者にした理由を説明する。
本を読む意味
ウェブでさまざまな情報が瞬時に行き交う現代において、数時間、時には何日間もかけ1冊の本を読む行為は、情報収集やスピードという観点からは効率の悪い行為と考えられがちだ。
「ひとりの人間が人生で経験できることには限界があります。しかし、本を読めば著者のさまざまな経験を短時間で吸収できる。自身に足りない知識や経験を効率よく体系的に学ぶことができるメディアが本です」(大賀)。
「弊社では、月に1冊、本を読む『ホンヨミ』という書籍購入費を補助する制度があります。本には物事の本質が書かれていて、それは時間を経ても変わるものではない。本質を体系的に学ぶのに本は適しているメディアです」(大宮)と本のメディア特性を語る。