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化粧品専門店 セフォラ(Photo by Gettyimages)

「オムニチャネル」はすでに死んでいる。筆者の考えでは、もうかなり前に──。簡単に言えば、素晴らしい顧客体験が「誰にとっても、どこでも何でも買えること」であったことは一度もない。

小売業者にとってオムニチャネル以上の重要性を持つのは、顧客の買い物において重要な瞬間に注目すべき形でそこにあること、つまり「調和の取れた小売(ハーモナイズド・リテール)」を実現することだ。デジタル破壊の影響が広範囲に及ぶこの時代に事業が順調な小売業者を見れば、「調和的小売」がいかに示唆に富み、手引きとなり、有用なものであるかが分かる。

調和的小売の最も重要な点は、さまざまな販売チャネルに関する議論はいずれも、特別に役立つものではないという事実を受け入れることにある。「チャネル」とはつまり、顧客のことなのだ。

顧客体験に関して成功を収めている戦略は、複数のチャネルを一体化した(調和させた)ものが唯一のチャネルであることを理解した上で立てられたものだ。そしてまた、異なる顧客層がそれぞれ、オンラインと実店舗のチャネルをいかに横断的に利用しているかを把握するにあたっては、顧客に関する深い洞察が重要であることを認識した上で立てられたものでもある。

これらを認識している小売業者はそれを武器に、障害となり得る「フリクション(摩擦)・ポイント」を排除し、顧客の驚きをより大きなものにする(本当に記憶に残る体験を提供する)ことによって、調和的小売を実現することができる。

「成功者」たちの例

調和的な小売を通じて目指すのは、顧客の買い物において重要な側面が全てそろい、整っていることだ。「オムニチャネル」で販売してきた中でも成功を収めているのは、実際にこれを実現した小売業者だ。

デジタルネイティブのバーティカル・ブランドのうち、実店舗販売に乗り出し、評価額を大幅に引き上げているもの(メガネ・サングラスのワービー・パーカー、マットレスのキャスパー、メンズアパレルのボノボス、スーツケースのアウェイなど)は全て、この戦略に含まれる要素を取り入れている。

編集=木内涼子

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