調和的小売の概念を採用することで「小売業の最後の日(リテール・アポカリプス)」を乗り越えた従来型の小売店には、化粧品専門店のセフォラやアルタ・ビューティー、キッチン用品のウィリアムズ・ソノマなどがある。
これら各社は、オムニチャネルを採用した多くの小売業者が取った「焦点の定まらない」アプローチを賢明に回避。現在の買い物である「曖昧さ」を取り入れた。オンラインと実店舗での販売は互いを促進するものであることを理解し、最も大切な顧客と潜在顧客のために、全てが協調して効果的に働く素晴らしい方法を見つけ出したのだ。
家電量販のベスト バイ、小売チェーン大手のターゲットやウォルマートなどその他の伝統的な小売業者は、eコマースの台頭が自社のビジネスモデルを時代遅れのものにするという懸念を抱いてきた。だが、各社は現在、反撃に出ている。
そして、それぞれの再生の中心にあるのは、調和的小売の原則を採用したことだ。デジタルの分野における機能を大幅に向上させただけでなく、顧客にとっての買い物をより深く理解することによって、最も重大な「フリクション・ポイントの一掃」に焦点を絞ることへと重心をシフトさせた。
各社の戦略はいずれも、アマゾンを追い出そうとするためのものではない。かつては実店舗だけで事業を行ってきた小売業者が、違いを生み
出すために力を付け、新たな能力の開発に努力してきたということだ。
結局のところ、こうしたことを適切に行った実店舗型の小売業者は、ほとんどが生き残っている。