自然派デオドラントで注目の「シュミッツ・ナチュラルズ」の理念

Jose A. Bernat Bacete / Getty Images

「自然派のコスメがとうとうメインストリームになった」と、米ポートランドに拠点を置く「シュミッツ・ナチュラルズ(Schmidt’s Naturals)」CEOのMichael Cammarataは話す。「一部の人だけに支持されてきた時代は終わった」
 
同社は2017年にユニリーバに買収されたことで、植物由来のデオドラントを世界中に普及させるというビジョンを実現した。2019年に入るとジャスティン・ビーバーとコラボして新しい香りのデオドラントを開発するなど、有名人とタッグを組んで同社の製品をより多くの人に届けている。
 
しかし、「自然派デオドラントが従来のプロダクトと同様の効果を持つという主張は、なかなか受け入れられなかった」とCammarataは言う。
 
テック業界で働いてきたCammarataがシュミッツと出会ったのは、一消費者としてだった。「健康にいい製品を探していた。ウェルネスについて追及していたら自然派デオドラントに行きついた」
 
シュミッツの自然派デオドラントはジェイミー・シュミット(Jaime Schmidt)が2010年に開発を開始し、ポートランドのマーケットに出品していた。その後、ホールフーズやアーバンアウトフィッターズなどの小売店で本格的に売り出した。デオドラント製品としての効果は申し分なかったが、ガラス容器に入れられていて他のデオドラント製品よりも価格が高かった。
 
シュミットがCammarataに出会ったのは2015年。Cammarataはガラス容器以外の消費者に優しい容器を追求したいと思っていた。
 
「スティックタイプやロールオンなどで提供することによって、多くの人に受け入れてもらえる。また、自然派だからといって高価格にはしなかった」とCammarataは話す。
 
だが、2人とも製造については詳しくなかった。当時の年間売上は50万ドル(約5400万円)だった。
 
そこでCammarataは自らのベンチャーキャピタル「KM Organic Fund」を通じてシュミッツに投資し、より大規模な製造施設を建設。高品質なエッセンシャルオイルの確保も開始したという。
 
「当時エッセンシャルオイルの最大の購入者だったコカ・コーラを除き、サプライチェーンを持っている企業はほとんどなかった。我々は高品質なオイルが大量に必要だったが、そのためのサプライチェーンがない状態だった」
 
その後、2017年には3万平方フィートの施設をポートランドで確保し、従業員は120人に急増した。
 
同年のユニリーバによる買収は、双方にとって有益であり、単独では入れなかった市場にも進出できるようになったとCammarataは言う。「我々だけの力では10年かかることをわずか1年で成し遂げられた」
 
同社の製品は今、ドラッグストアチェーン大手のCVS、ターゲットなどでも販売中だ。
 
「今や企業が消費者とつながるのは簡単だ。企業は単に利益を上げるだけでなく、人々や地球のためになることを考えなくてはならない時代だ」とCammarataは話した。

編集=上田裕資

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