ブロックチェーンで電力を「産地直送」するベルリンの起業家

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エネルギー業界は、テクノロジーの革新によって急速に変化している。こうした変化をリードしているのが、Richard Lohwasser博士やKyung-Hun Ha博士のようなビジョンを持った起業家たちだ。

2人は、ベルリンにあるエネルギー会社に勤務していた2015年に出会い、テクノロジーを用いて業界を変革することに情熱を注いでいた。それから2年後、彼らは大手エネルギー企業の拝金主義に嫌気が差し、ブロックチェーンを用いたピアツーピア(P2P)の取引きモデルを立ち上げるために「Lition AG」を設立した。

Litionのプラットフォームによって、消費者はグリーンエネルギーの生産者と直接つながり、好みの生産者から直接電力を購入することができる。サステナブルであると同時に、仲介者を経由しないため、従来に比べて透明性と経済性が高い。

Litionのユーザーは、電力代を20%ほど節約でき、生産者も30%ほど利益が増えているという。同社は、意思決定権をエネルギーコングロマリットから消費者に移し、消費者が生産者を選択できるようにした。

Litionを設立した当初、大手電力会社は同社のサービスの導入を拒んだというLohwasserとHaは、ドイツ政府に電力を販売するためのライセンスを申請し、2018年4月に取得した。

同社は、サービス会社BASの協力を得て地元のグリッド運営者と提携し、政府の認可を受けた電力供給者として最大4100万世帯を対象にサービスをリリースした。Litionは、問題意識を共有するSAPと組み、次世代ブロックチェーン技術の開発に取り組んだ。

「我々が目指すのは、高度な拡張性を備え、安全で、データ削除機能を持つ商用プロダクト向けのパブリック・プライベート・ブロックチェーンだ。このインフラはLitionの中核をなすだけでなく、その他多くのブロックチェーン・アプリケーションがニッチ市場を脱し、メインストリームに普及することを可能にする」とLohwasserは話す。
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編集=上田裕資

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