ビジネス

2019.06.30 18:00

フィンテック界の新ユニコーン「Brex」の20代創業者たち

John Lamb/Getty Images

John Lamb/Getty Images

企業向けのクレジットカードを提供する「Brex」が新規で1億ドルの資金を調達し、同社の企業価値は26億ドル(約2800億円)に高まった。
 
サンフランシスコ本拠のBrexは、昨年10月に1億2500万ドルの資金を企業価値11億ドルで調達し、フィンテック分野のユニコーンの仲間入りを果たしたばかりだ。前回の調達ラウンドを主導したのはGreenoaks CapitalとDST Globalらだったが、今回はKleiner Perkins Digital Growth Fundがリードインベスターを務め、既存出資元のYコンビネータやRibbit Capitalらも参加した。
 
Brexは独自モデルを用いてスタートアップの信用力を精査している。https://forbesjapan.com/articles/detail/21720/1/1/1中小企業は大手の金融機関の融資対象から除外されがちだが、フィンテック企業らは独自の与信モデルを用いて審査プロセスを合理化し、迅速な融資を可能にする。
 
同社は企業向けにバーチャルクレジットカードと支払い管理ツールを提供し、企業内の経費の動きを一元管理できるようにする。この分野での競争は激しく、アメリカンエキスプレスやDivvy、Bento for Businessなどの企業も同様なサービスを提供中だ。しかし、Brexは評価額と成長スピードの点で傑出した存在といえる。
 
Brex の共同創業者で共同CEOのHenrique Dubugrasによると、既存の銀行らは企業の過去の支払い履歴から信用度を測るが、Brexはリアルタイムで企業の財政状況を把握して与信を行っている。同社は与信システムの構築を、既存のレガシーな仕組みに頼らず、スクラッチで作り上げた。
 
「当社は入手したデータを常に精査することで、個人保証なしで、既存の金融機関よりも高い与信枠と迅速な審査プロセスを実現した」とDubugrasは話した。
 
今回の調達資金は管理システムへの新機能の付加や、Brexのリワードプログラムの増強に用いられるという。同社はライフサイエンス系企業向けのクレジットカードの発行など、新分野の市場にも進出する計画だ。
 
Yコンビネータ出身の20代起業家
 
Brexの共同創業者のHenrique DubugrasとPedro Franceschiは、まだ高校3年生だった2013年にブラジルでオンライン決済企業「Pagar.me」を立ち上げ、現地のクレジットカード会社「Stone」に数千万ドルで売却した。
 
2人はその後、スタンフォード大学に進学するためにシリコンバレーに移ったが、わずか3ヶ月で退学してYコンビネータのアクセラレータープログラムに参加した。彼らは、Yコンビネータの参加企業が保証人なしでクレジットカードを作ることができないという問題を解決するため、Brexを立ち上げた。
 
「前回の資金調達をアナウンスして以来、Brexの事業は急速に拡大している」とDubugrasは述べた。今年2月にはEコマース向けのクレジットカードを始動させ、化粧品会社のMalin + GoetzやOutdoor Voices、Boxed.comらを顧客として獲得した。
 
Brexは60日間の支払い猶予期間と、金利なしのローンやリワードプログラムを提供する。同社はスタートアップ企業に対しては、銀行残高に応じた与信を行っている。
 
Brexはこれまで累計3億1500万ドルを調達しており、4月にはBarclaysから1億ドルを借入資本として調達した。Dubugrasは現時点ではIPOは検討していないと話した。「事業を立ち上げてからまだ2年が経過したばかりで、上場は急いでいない」と彼は述べた。

編集=上田裕資

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