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家事分担について語るジョン・レジェンド(CannesLions)

「男らしい」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。強さ、リーダーシップ、責任感……人それぞれイメージは違うかもしれないが、性別関係なくどこかで一度は耳にした言葉だろう。

今、世界では「男らしさ」を問い直す動きがある。一面的な「男らしさ」の呪縛に囚われ、生きにくさを感じる人が多いからだ。性の多様性が叫ばれている世の中で、「男らしさ」と私たちはどう向き合えばいいのだろうか。

そのヒントとなるような企業ブランドの広告を4つ紹介する。

1. 自作のオムツ替えソングがCMに
 ─ブランド:パンパース



オムツブランドとして知られるパンパース。オムツのCMは、女性が登場することが多かった。しかし、このCMで女性は最後の1シーン以外出てこない。育児をしているのは、男性だけだ。

さらにオムツ替えをするのは、歌手のジョン・レジェンドと、同じく歌手のアダム・レヴィーンだ。世界的大スターの2人が「オムツ替えソング」を歌いながら子どものオムツを替えている。

有名人を起用し、ブランドとその人自身の好感度を上げるCMはよくある。しかし、この「オムツ替えソング」はレジェンドのオリジナルソングだった。

世界最大級の広告祭であるカンヌライオンズのメインステージで行われたセッションでレジェンドは、「娘のオムツを替えていたら、この曲が思い浮かんだんだ。この歌を歌いながら、オムツ替えをずっとしていたんだよね。そしたら、友人に『パンパースにその曲紹介したら?起用されるかもよ』と言われて送ったら、このCMが出来上がったんだ」とその曲を披露しながら語った。

パンパースはまさにレジェンドの日常的な行為をCMにしたのだった。レジェンドは同時に「僕たち夫婦は家のことはきちんと分担している。どちらかに偏ることは極力ないようにしているんだ」と話し、どんなに有名で忙しくても家庭をおろそかにしない姿勢を見せた。

2. 「僕にとって男らしさは、勇気を持って自分らしくいること」
 ─ブランド:ボノボ



男性用のアパレルブランドであるボノボはたくさんの男性に「男らしさ」の定義を問い直した。

最初にスマホを渡され、辞書で「男らしい」の単語を調べてもらう。しかしその意味を改めて知る彼らは、驚くだけでなく、自分にとってその意味が「かけ離れている」と感じる。彼らの正直なコメントが「男らしい」の呪縛を解いていく。

「男らしさが一つの意味しかないから、僕たちはいろんな問題を引き起こすんだと思う」
「いろんな人が男らしさを求めているけど、それは不可能だよね」
「それを追い求める必要なんてない」
「自分で男らしさを定義すればいいんじゃないのかな。自分らしくあればいいんだよ」
「僕にとって男らしさは、勇気を持って自分らしくいること」
「愛し、愛されることじゃないかな」
「人間らしくあるにはどうしたらいいかってことだと思うよ」

画面に登場する男性は、若い人から年配の人、人種もバラバラ、スタイルもそれぞれ違う。彼らが多様であるように「男らしさ」の定義も多様であるべきだ、というメッセージが強く伝わる。そして、男性自身が「男らしさ」の再定義をすることで実はこの言葉が一人歩きをして様々な人を苦しめていたことがわかる。

これは裏を返せば「女性らしさ」についてもいえることではないだろうか。

文=井土亜梨沙

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