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3. 男の子はいつまでたっても男の子?
 ─ブランド:ジレット



髭剃り・カミソリメーカーとして知られるジレットは、男性の「正しいあり方」を問い直す動画を作成した。「boys will be boys(男の子はいつまでたっても男の子)」という表現を皮肉として使いながら、男性たちから「変わらなければいけない」ことを訴えている。

男の子同士が喧嘩をしているのは、「男らしい」からなのか
弱い人をいじめるのは「男らしい」からなのか
女性をナンパするのは「男らしい」からなのか

これらの行為は傷つく人が現れる可能性のある行為だ。

かつて「男らしさ」という枠に収まっていた言動を一つ一つ紹介している。それを横でみる男性を映し、「正しい行為」ではないと止める場面を描いた。この動画のポイントは、「横で見る男性が止める」ところだけではない。勇気を持って、「正しい行い」をする男性を見つめているのは小さな男の子たちだ。

彼らはやがて「大人の男性」になる。同じ過ちを繰り返さないためにも、新しいロールモデルを作ろう。正しい行為を見せていこう。未来に負の遺産を残さないために。そんなメッセージが強く伝わる動画となっている。このような過去の「男らしさ」を広告で作りあげてきたのは、男性向け商材を扱っているメーカーでもあるという反省点から立脚しているとも言える。その一つがこのように新しいロールモデル像を再定義するのは非常に興味深い。

4. 「美しい」は男性に言ってはいけない?
 ─ブランド:サムスン



韓国最大の電子製品メーカーのサムスンが作成したのは、男女関係なくいろんな人を撮影する際に「あなたが美しいと思ったから撮ります」と伝える動画だ。この動画のオリジナルバージョンは、作成者シアの地元の高校生に同じことをして撮影している。その動画は2000万回以上再生され、サムスンが同じものを作ってほしいと頼んだ背景がある。

カンヌライオンズの1セッションでシアは、「美しい」という形容詞が多くの場合女性に向けられることに違和感を持ったと話した。「美しさ」はジェンダーレスであってもいいというメッセージのもと、性別関係なくその言葉を伝えた。

動画の中でいきなり「美しい」と言われ、戸惑い、はにかむ。「じゃあなんで僕を撮影するの?」と聞き返す人も現れる。しかし、普段あまり目にしないような表情一つ一つに美しさがあると気づかされる。

彼女はセッション中、広告業界のトレンド用語となっている「オーセンティシティ(信憑性)」についても話した。「思春期の子どもにとってのオーセンティシティは、弱さです。まだまだメディアはそこを取り上げられていない。男の子たちが見せる弱さにもっと真摯に向き合わないといけない」と語った。


カンヌライオンズでは数年前から多様性の名の下に「女らしさ」を問い直すような作品が目立っていた。そして今同様に「男らしさ」が問われている。広告業界には男らしさ、女らしさの呪縛を生んで来てしまったという悔悟があるのかもしれない。「女らしさ」「男らしさ」に縛られるのではなく、自分らしさを最大限に追求する。本質的なメッセージが企業のブランド価値を高めている。

文=井土亜梨沙

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