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2019.06.24

上場で完遂した会社のリバースエンジニアリング。ものづくりを愛する経営者の矜持

「街の電気屋さんになることが、幼い頃の夢でした。とにかく家電製品が大好きで。電気回路の構造を知りたくて、壊れたテレビを分解してみたり、クリスマスツリーの電飾をいじって、ショートさせてみたり」

まるで少年のような笑顔で自身の原点を語ったのは、リックソフト株式会社で代表取締役を務める大貫浩だ。

“解体して構造を見極める”リバースエンジニアリング思考は、大貫の人生におけるひとつの軸となってきた。

同社の主力事業である豪・アトラシアン社製品のライセンスを取得し、SIとしての船出を決めた時もそうだ。まず自身で利用し、エンジニアとして使い心地や品質を充分に確かめた上で、国内初の代理店として名乗りをあげた。

契約締結後は“どこよりも誰よりも製品を知り尽くす”ことに絶えず力を注ぎ続けた。顧客に対して、「的確なベストプラクティス」の提供を通じて築き上げた、顧客との揺るぎない信頼関係はその賜物だと言えよう。

「製品の良さを広め、業績を伸ばしていくこと自体、あまり苦労がなかった」と言い切る大貫。その成長過程の裏での唯一の気がかりは、 企業としての基盤づくりが後手に回っていたことだった。

東証マザーズ上場を目指したのは、決して華やかな理由からではない。今一度会社を解体し、足りないものを補いたいというのが最たる所以だった。

惚れ込んだ製品でなければ、僕たちは扱わない


リックソフトがライセンスを所有し、日本国内に提供しているアトラシアン社は、プロジェクト管理ツールや課題管理システムなどのいくつもの開発支援ツールを世に送り出している。全世界では13万以上の企業が利用し、欧米ではアジャイル型開発の「スタンダード」として定着している。

「2007年、リックソフト社を起業して2年が過ぎた頃にアトラシアンの製品と出会ったんです。『Apacheソフトウェア財団』によるオープンソースプロジェクトに翻訳ボランティアとして関わり、そこで、はじめて、企業向けWikiシステム『Confluence』の存在を知ったんです。その使いやすさに感激する毎日で。以後2年ほど使い、製品にとことん惚れ込んで、アトラシアン本社に販売パートナーとして申し出ました」



日本初のアトラシアン社販売パートナーとして契約を締結した後は、メインとしていた常駐型SI業から、アトラシアン製品の販売業務へと舵を切った。2009年のことだ。

ホームページを立ち上げると、大手証券会社やメーカーからの問い合わせが相次いだ。各社とも「海外支社経由で評判を聞き、導入してみたものの製品の使い方が分からず、右往左往している」最中だった。最高とも言える、船出のタイミングだった。

その後も、早くからアジャイル型開発が採用されていたITやゲーム業界への導入が続いた。10年経った今では、新しいシステムの導入に極めて慎重とされる製造業や金融業にまですそ野が広がっている。

「業種だけでなく、製品そのものの使い方も多様化しています。例えば、あるIT企業では、wikiシステムである『Confluence(コンフルエンス)』にあえて、作業上の失敗情報を書き込み、誰でも検索できるようにしていると聞きます。そうすることで、成功事例しか上がってこないような大きな組織体でも、各々が事前に失敗を把握し、回避することができると考えたのでしょうね」

業績に貢献してきたのは、こうした製品の優位性や汎用性だけではない。強力なサポート体制はもとより、「無理な売り込みはしない」「長所だけでなく短所も伝える」営業方針が功を奏している。

「正直な言動で信頼を獲得する」――リックソフト社がアトラシアン製品のアジア売上ナンバーワンパートナーであり続ける理由がここにある。

上場は、会社をリバースエンジニアリングするため


創業14年目にして、リックソフト社は東証マザーズへの上場を果たした。あるベンチャーキャピタリストと出会ったのが、IPOを目指す契機となった。

「それまでIPOのアの字も思い浮かばなかったですし、資金面においても特に懸念することはなかった。ただ、ひとつだけ気がかりだったのは『働いてくれている社員を幸せにできているのか』ということでした。ひとりで立ち上げて、日々の業務に全速力で対応していたら、いつの間にか大きな箱になっていた、という感じで。企業としての基盤づくりはずっと後回しのままだったんです」



それ以前は予算管理すらなかったんですよ、と苦笑いする大貫。「仕組みを整え、永続できる会社」を目指し、2014年12月に上場を決意した。年末年始の休暇は資本政策の策定に費やした。

「資本政策とは一言でいうと、企業が成長するために行う資金調達の計画書。『資金調達』『株主利益の適正な実現』『株主構成の適正化』の視点で、説得力のある道筋を立てることが求められます」

ベンチャーキャピタルから始まり、監査法人、証券会社など日に日に関係者は増え、業務は山積していく。2人の役員と大貫、計3人で会社のルールである各種規定の策定から始まり、予算管理、稟議の通し方などを細やかな取り決めを重ね、その結果、少しずつ日常の風景が変わっていった。そこから、わずか4年で上場。関わるメンバー全員がIPO未経験者にも関わらず、だ。

「上場を決めてからの最初の1年だけで、会社は大きく変わりました。というより、本気で変えようと思えば、何でも変えられるものなんだと。言ったとおりのことがこうして実現できたのはなんだか不思議な感覚ではありますが」

こうして、リックソフト社そのもののリバースエンジニアリングは、上場によって完遂した。

メイドインジャパンの未来をつくる企業になる


現在のリックソフト社の事業スピリットは、大貫自身のいくつかの原体験によって形成されている。冒頭のエピソードのほかに欠かせないのが、大学時代のゼミ室での話だ。

「1990年代当時はインターネット黎明期。でも私自身は情報科学、つまりコンピューターサイエン スの学科に在籍していたので、インターネット経由で得られる海外のソフトウェアについて詳しかった。そこでゼミ室のメンバーに便利なツールを紹介してあげたら、とても喜ばれて。こんな風に人助けができるコンピューターってすごいな、と感激したんですよね」

「価値あるツールを広めることで人々に貢献できる」、その時の思いが現在の事業に発展したと大貫は言う。実際にこれまで「気持ちよく、心地よく開発をサポートしてくれる」さまざまなアトラシアン製品を国内エンジニアに伝えてきた。 上場企業となった現在大貫は、“リックソフトでなければ成し遂げられない未来”に熱いまなざしを送る。

今後、日本でのアジャイル型開発の発展とともに、さらなる売り上げが見込まれるであろうアトラシアン製品。その一方で、海外では高く評価されているが国内では知られていない製品の取り扱いも拡大させていきたいと語る。

必ず実現させたい夢がある。それは、自社開発製品のシェアを伸ばしていくこと。同社ではアトラシアンのアドオン製品である、進捗管理ツール『WBS Gantt-Chart for Jira』や課題編集ツール『Excel-like Issue Editor for Jira』などを開発し、海外を中心に販売している。

「すでに米国にRicksoft, Inc.という子会社を作り、ソフトウェア開発とそれに伴うセールスマーケティングを行っています。現在、約70か国、1100社の企業と取引があり、伸び率は50%と高水準をマークしています。

悲しいことに日本は、ソフトウェア開発の世界においては、後進国なんです。アメリカ製、ヨーロッパ製と同じ土俵で戦えていない。その現状を覆したいという思いが常にあって。

粘り強く開発を続けていき、いつか『日本製のソフトウェアやシステムっていいよね』と認められるような、素晴らしい製品を作り上げたいんです」

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