長者番付に名を連ねた40人のうち、新たにランク入りを果たしたのは、すべて「相続」が理由の5人。コンテナ海運業界で世界第3位を誇るCMA・CGMのロドルフ・サーデ(昨年6月に父ジャック・サーデの死去により相続)、そして軍用機製造ダッソー・グループのセルジュ・ダッソーの4人の相続人たちである。
2019年版フランス番付を紐解くと、2つの新しい傾向が浮かび上がってくる。1つは、超富裕層のグループがその豊かさに拍車をかけ、資産をさらに増やしたこと。もう1つは、フィンテック関連の企業経営者らが株式市場の不況に見舞われ、勢いに翳りがでていることだ。
(Forbes France提供)
上位5位の顔ぶれは?
1位:ベルナール・アルノー|LVMH
─資産額 669億ユーロ(760億ドル、8兆2528億円)
ベルナール・アルノー(写真右)(Photo by Chesnot/Getty Images)
ベルナール・アルノーがこれほど優勢を極めたことはかつてなかった。高級ブランド業界は2018年も並外れて好調だったが、その中でもアルノー率いる「LVMH(モエ・ヘネシー=ルイヴィトン)」は桁外れだった。「ラグジュアリー界の帝王」はフランス長者番付の首位に君臨し続けており、しかも昨年よりも資産額を増やし続けているのだ。
アルノーの保有資産額は669億ユーロと推定されており、世界を舞台にしても堂々4位の大富豪である(この4月にさらに60億ドルのばし、世界3位に浮上している)。フォーブス国際チームの推定によれば、このアルノーを凌ぐのは、ウォーレン・バフェット(840億ドル)、ビル・ゲイツ(900億ドル)、そして世界一の富豪ジェフ・ベゾスの3人だけだ。
アマゾン・ドット・コムのベゾスは、1000億ユーロ(1120億ドル)の大台を越えた唯一のビリオネアだ。ただしベゾス夫妻は離婚の最終手続中で、数カ月のうちにも株式譲渡の条件が決定し、その保有資産はかなり減るものとみられる。