カフェと森から得られる、社会的ストレスに苦しむ人への効果

時には薪の火で濃いめのエスプレッソを


最近こんな本を読みました。

「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる」(フローレンス・ウィリアムズ著、NHK出版)。これを読むと、カフェ以上に森の中で過ごすことは、ストレス対策や脳にいいらしい。

「自然の中で一人で過ごすことは精神的に疲労した人や社会的ストレスに苦しむ人に特に効果がある」。ある心理学者は「賭けてもいい。自然に囲まれていれば前頭前野に負荷がかかることなどありえない」。またカナダのトロントでは都会の森に70億ドルの価値があるといいます。論文によると、自宅周辺に樹木が密に生えているほど、住民の心臓病や代謝疾患の罹患率が低くなるそうです。

以上を踏まえ、以下は僕個人の体験からくる考えになります。

前半で書いたカフェ効果、そして、森の効果。この二つを一挙両得で手に入れてしまえるのが、森の中のキャンピングトレイラーではないかと思っています。窓の外は森だけで日常を感じさせるものは見えない。もちろん、ラップの箱も見えない、というかそもそも置いてない。

ここでひとり、コーヒーを飲んでいると、自分が何にも縛られないニュートラルな存在になれるのを実感します。今までにない視点から、素の自分を眺め、都会での仕事のことも客観的に捉えられる。東京では思いもつかないアイデアが浮かんできたことが何度もありました。

日が暮れてきました。電気でなく、キャンドルを灯します。

本にはこんなことも書かれていました。

フランスの哲学者ガストン・バシュラールはこう言っています。

「火は『哲学』を生む」

僕のキャンピングトレーラーには電気がありません。ランプの灯りはブルーライトの対極かもしれません。

今、その小さな光でこの原稿を書いています。だから、今回は少し哲学的な、内省的な内容になってしまったのかもしれません。


森では新緑の木の葉がコースター

連載:週末遊牧民~森と都市の狭間を旅しながら~
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文、写真=小林キユウ

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