日本のアニメ、世界で流行るか流行らないかは国や地域で事情が異なる

写真=Atsuko Sakai -Hikari Green-

本コラムで「海外のオタクが日本のアニメライブを楽しめない理由」という記事を書いたが、コスプレイヤーとして世界各国の人と関わっていて気が付いたのは「国、地域によって流行る日本のアニメに若干の相違がある」ということだった。

日本で大人気のアニメでも海外では不発に終わったものもあれば、逆に日本でそこそこの人気であっても、海外で爆発的な人気となるアニメもある。

大手広告代理店に勤めている友人などからも「どの国でどういう日本のアニメを出せばヒットするのか?」という質問を度々受ける。

今回は、私自身がコスプレイヤーとして世界を回り、海外のアニメ好きの人たちと数多く交流した経験を基に、世界で流行るアニメの特性について地域別に分析したい。

なぜ欧米ではNARUTOとポケモンが大人気なのか

「世界で一番人気がある日本のアニメは?」と聞かれた際、私は、いつも「NARUTO」「ポケモン」と答えている。

なぜ特に欧米ではこの2つが人気を獲得したのだろうか。欧州と米国でそれぞれ理由が異なってくる。

実際、私がコスプレで海外に進出したのはおよそ10年前だが、NARUTOもポケモンも、10年前から今に至るまで根強い人気を誇っている。

米国ではスカッとするような勧善懲悪が受け入れられやすい

アメコミ(アメリカンコミックス)やロングセラーの「スーパーマン」シリーズなどは、正義が悪を裁くという勧善懲悪を描いたストーリーが目立つ。

だから、ポケモンで描かれている主人公のサトシが様々なライバルを倒してポケモン界の頂点へと上がっていく姿や、NARUTO で主人公のナルトが敵を次々と忍術で倒して成長していく姿は、アメリカ人にとってヒーローであり、共感を呼ぶのであろう。

一方で、数年前に日本で爆発的な人気となった「涼宮ハルヒの憂節」に関しては、当時も興味を持っているアメリカ人はそれほど多くなかった。

アメリカでは複雑に散りばめられた伏線を一つ一つ回収していくようなアニメ、何気ない日常を描いたアニメは、比較的人気が出づらい傾向にあるとも感じた。
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文=Atsuko Sakai -Hikari Green-

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