日本のアニメ、世界で流行るか流行らないかは国や地域で事情が異なる

写真=Atsuko Sakai -Hikari Green-


欧州は文化やクリエイティビティを重視する

欧州では、アニメを通してその国の文化を感じたり、また、アニメ作品を通してさらなる創作活動を楽しんだりするファンが多いように思える。

だから、欧州のアニメファンは NARUTOを通して日本の伝統的な存在である忍者を尊び、感銘を受けているように見える。

また、ポケモンたちの擬人化イラストの創作やポケモンのコスプレが欧州で人気だ。欧州のアニメファンは、いかに原作のポケモンたちの存在をクリエイティヴにアレンジし、自らの形で表現できるかに喜びを見出しているようだ。

対照的に、日本では代表的なアニメと言われている「ONE PIECE」はNARUTOほど人気がない。

これは、「ONE PIECE」で描かれる、欧州の海賊を日本向けにアレンジした姿が、欧州では少々奇妙に映るからかもしれない。

実際、あるヨーロッパ出身の人が、「ONE PIECE」で描かれる海賊よりも、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出てくる海賊像の方が違和感ないとも語っていた。

欧州の中には、アニメの暴力、流血シーンに対し放送禁止などの措置を取る国もある。

そうなると、同じ週刊少年ジャンプで連載されていた「BLEACH」のような、死神たちが剣を使って流血を繰り返して戦い抜くストーリーは、欧州ではかなりのシーンが放送禁止となる。そのため結果としてストーリーが分からないまま終わってしまう。

日本の流行アニメをいち早くフォローしようとする東南アジア

アジア地域ではどうだろうか? 東南アジア各国では、日本で人気が出たシリーズを追随し、比較的日本と似た形でファン活動を楽しんでいるようだ。

欧米と比べても、日本での最新人気アニメが万遍なくカバーされているし、新作アニメが現地で受け入れられる速度が圧倒的に速い。

これは、一部の作品が爆発的な人気となり、一方で別の作品が見向きもされない欧米とは大きな違いだ。

日本のアニメを基に独自アニメを作り始めた中国

中国に関しては、欧米や東南アジア地域とははまた様相が異なる。

最近、海外のアニメ好きの仲間から、中国のアニメについて紹介される機会が増えてきたのだ。私も実際に人気の中国アニメを視聴してみたが、非常にレベルが高い。視聴後には「日本もこのくらいのクオリティのアニメを作ってほしい」と、海外の友人に言われてしまう始末だった。

中国が日本のアニメを凌駕し始めている構図は、今回のアニメコンテンツ産業に限らず、日本の白物家電などの他のさまざまな技術や産業にも通ずる話ではないかと思う。

あくまでも出来る限り一般化した話であり、全ての日本のアニメに当てはまるわけではない。しかし、新卒から10年間ファンドマネジャーをしていて、日本の国際的な競争力が少しずつ低下していく状況を目にしていた身からすると、せめて世界に浸透している日本のアニメは、日本人として大事にしたいと強く感じている。

連載:金融女子コスプレイヤーから見た「世界」
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文=Atsuko Sakai -Hikari Green-

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