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2019.06.19 18:05

「服を作らない」無名のファッションブランドが、一夜にして世界的注目企業になった理由

6月18日の授賞式で、デジタルクラフトライオンズ」審査員長「Inamoto & Co Founding Partner」のレイ・イナモトを囲む「CARLINGS(カーリングス)」チーム一同。

環境への悪影響が「皆無」──。

世界的なクリエイティブフェスティバル「カンヌライオンズ」でグランプリを受賞したコペンハーゲンの「CARLINGS(カーリングス)」から、今後のファッション業界を変えるムーブメントが巻き起こるかもしれない。

まずは、この動画を見てほしい。



動画の前半で紹介されるのは、いかにファッション業界が環境破壊を進めているかということと、デジタル世代はSNS上に2度と同じ服装で自身の写真を公開したがらない、という現実だ。

ファッション業界にとってもますますプロモーションが複雑になるいま、1980年創業のカーリングスが打ち出したキャンペーンが、「adDrees _THE_ FUTURE(アドレス ザ フューチャー)」だった。

このコレクションはデジタル上にのみ存在し、実在しないアイテムたちだ。ユーザーがアイテムを購入すると、スマートフォンで撮影されたユーザーのポーズに合わせて、3Dデザイナーが実際に着ているかのように写真上の洋服を調整する。

6月17日から21日にかけてフランス、カンヌで開催されているカンヌライオンズの「デジタルクラフトライオンズ」のグランプリ作品としてこの動画が発表された。

広告祭としてスタートしたカンヌライオンズでグランプリ、ゴールド、シルバー、ブロンズ賞を受賞するのは、エントリー作品のうちのわずか約3%。受賞作品には、広告予算の多いグローバルブランドが名を連ねることが多い。

だからこそ、世界的にはまだあまり知られていない、カーリングスがグランプリを受賞したのは、今年のカンヌライオンズのハイライトのひとつとも言える。

グランプリに輝いた理由は、昨今各ファッションブランドが向き合ってきた「環境への配慮」という課題に対して、「環境への悪影響が皆無」という新たな目標を設けたキャンペーンをローンチしたことだ。

「唯一無二の取り組みによって、無名なブランドが一夜にして世界中に知られるようになる。そんな瞬間を目撃することができるのも、カンヌライオンズの醍醐味です」

デジタルクラフトライオンズ の審査員長を務めた「Inamoto & Co Founding Partner」のレイ・イナモトが作品紹介の際にこう述べた通り、カーリングスのグランプリ受賞から、旧態依然としたファッション業界の変革が加速するはずだ。

文=守屋美佳

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