世界的なクリエイティブフェスティバル「カンヌライオンズ」でグランプリを受賞したコペンハーゲンの「CARLINGS(カーリングス)」から、今後のファッション業界を変えるムーブメントが巻き起こるかもしれない。
まずは、この動画を見てほしい。
動画の前半で紹介されるのは、いかにファッション業界が環境破壊を進めているかということと、デジタル世代はSNS上に2度と同じ服装で自身の写真を公開したがらない、という現実だ。
ファッション業界にとってもますますプロモーションが複雑になるいま、1980年創業のカーリングスが打ち出したキャンペーンが、「adDrees _THE_ FUTURE(アドレス ザ フューチャー)」だった。
このコレクションはデジタル上にのみ存在し、実在しないアイテムたちだ。ユーザーがアイテムを購入すると、スマートフォンで撮影されたユーザーのポーズに合わせて、3Dデザイナーが実際に着ているかのように写真上の洋服を調整する。
6月17日から21日にかけてフランス、カンヌで開催されているカンヌライオンズの「デジタルクラフトライオンズ」のグランプリ作品としてこの動画が発表された。
広告祭としてスタートしたカンヌライオンズでグランプリ、ゴールド、シルバー、ブロンズ賞を受賞するのは、エントリー作品のうちのわずか約3%。受賞作品には、広告予算の多いグローバルブランドが名を連ねることが多い。
だからこそ、世界的にはまだあまり知られていない、カーリングスがグランプリを受賞したのは、今年のカンヌライオンズのハイライトのひとつとも言える。
グランプリに輝いた理由は、昨今各ファッションブランドが向き合ってきた「環境への配慮」という課題に対して、「環境への悪影響が皆無」という新たな目標を設けたキャンペーンをローンチしたことだ。
「唯一無二の取り組みによって、無名なブランドが一夜にして世界中に知られるようになる。そんな瞬間を目撃することができるのも、カンヌライオンズの醍醐味です」
デジタルクラフトライオンズ の審査員長を務めた「Inamoto & Co Founding Partner」のレイ・イナモトが作品紹介の際にこう述べた通り、カーリングスのグランプリ受賞から、旧態依然としたファッション業界の変革が加速するはずだ。