テクノロジー

2019.06.20 07:30

2023年に「空のタクシー」実現を目指すウーバー 空と陸で都市の渋滞問題解決に挑む


「現在地上にあるトランスポーテーショングリッドを地上に、3次元にする」とウーバー・エレベートを率いるEric Allison氏は述べる。ウーバー・エレベートとは文字通り、交通グリッドを「上にあげる(Elevate)」ことを目指す。

メリットは渋滞緩和だけではない。都市に緑が戻り、電気ベースにすることで大気もクリーンになる。「過密化して汚染した都市を、人のための都市にする」とKhosrowshahiは言う。ウーバーが描く都市は、電気、共有、安全をキーワードにした「3Dのシティ」だ。


Uber Elevateを率いるEric Allison

Uber Airは車と同レベルの価格になる

ウーバーは空の移動をスタンダロンで提供するつもりはない。陸の移動と結びつけると言う壮大なビジョンを持つ。ウーバーが描くの次世代の移動はこんな感じだーー自宅から目的地Aまで行くのに、まずは「ウーバー・エックス」(ウーバーの配車サービス)を使ってウーバー・エアーが離着陸するSky Portに行き、ウーバー・エアーで移動、着陸したSky Portからは「JUMP」と言われる電動自転車または電動スクーターを使って短距離の移動をしてAに到着──陸と空で様々な交通手段を利用する移動を、Allison氏は「マルチモードの旅」と表現する。そこでは、ウーバーがライドシェアで構築しているプラットフォームが重要になる。

それを実現するためには、課題がたくさんある。ウーバー・エアーはいわゆる”空飛ぶタクシー”だが、これまでの陸の移動とは異なり、規制が厳しい世界だ。規制だけでなく乗用車のように簡単に移動手段と場所は手に入らず、専用の航空機と航空機が離着陸する空港施設も必要だ。また価格も気軽に利用できるレベルに落とす必要がある。

機材とインフラ側では、ウーバーは航空機、施設などで提携関係を結んでいる。航空機では垂直に離着陸できる電子型の小型航空機eVTOL(electric Vertical Take-off and Landing)を、Bellなど6社と進めており、eVTOLが離着陸するSky Portでは不動産などと協業している。


eVTOLではEmbraerx、Bell、Aurora(Boeing)、Pipstrel、Karem、Jauntの6社と提携。Jauntは今年のSummitで発表された。


Sky PortではSummitで最新のデザインも発表された。こちらはロサンゼルスで予定しているGenslerの「CITYSPACE」

ウーバー・エアーの価格については、一気に4〜5人を運ぶeVTOL、そして効率の良い離着陸を可能にするSky Portの実現により、「将来的にウーバー・エックスと同等の価格になる。車を所有するのと同じぐらいのコストも可能だ」とAllisonは試算を明かす。


ウーバー・エアーの価格は、eVTOLの自動運転と製造のスケールが出てくるとウーバー・エックスと同等になるとみる。
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文・写真=末岡洋子

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