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2019.06.30

ヒト、モノ、カネ。投資対効果を生むために最も重要なのはどれ?

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なぜ、日本の経営では「ヒト」への投資が定量化されないのでしょうか。

少なくとも日本においては、1. 「人口増加」が続き、2. モノとカネの投資対効果が高かったことによって、ヒトの価値が相対的に低い状態になっていたのだと私は捉えています。

カネがカネを産む状態なら、それ以外に投資する理由はありません。

モノも価格の上下変動はありますが、一度投資してしまえばその後は長い期間高い生産性をもたらしてくれますから、条件が合えば優先して投資されます。

そこに人口増加が続けば、日本人は一定程度の教育水準があることから、ヒトの入れ替えも容易で、損益が合う範囲で安く雇い入れ、貢献さえしてくれればそれでいいわけです。

全てに当てはまるわけではありませんが、「ヒト」は投資対効果を生み出す中で優先度が低かったのだろうと思います。

しかし、ここ最近は条件の変動が起きています。前出の2項目においてみれば、1. 「人口減少」社会となり、2. モノとカネの投資先不足になっています。

日本は8年連続人口が減少しています。若い人が新規に仕事社会へ流入する数が減るので、事業者が少くなったパイを取り合うことでインフレになり始めます。

そして、金融の異次元緩和でカネも市場に大量に出回りましたが、投資先が不足しているから資金がダブついています。モノへの投資も、2018年をピークに減少傾向にあると私は認識しています。

最後に残るのは、ヒトへの投資です。

これからの経営は、経営資源である「ヒト」をどのように確保し、どのように投資し、さらに雇用の拡大や人材流出を防止することで、「この会社に雇用されたい」と希望してくれる人の母数を増やし、人材獲得コストを下げることがますます重要になるだろうと考えています。

文=中川祥太

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