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新・パリのビストロ手帖


2つ目はサンドイッチカウンター。店に入るとまず目の前にあるのは、サンドイッチを売るカウンターだ。すべて注文制で、かつてバゲットコンクール入賞の常連だったブーランジュリー「ジュリアン」のバゲットに、ノルマンディー産のバターを力強く塗り、オーヴェルニュ地方のシャルキュトリー(豚肉加工品)やチーズを、リクエストに応じて挟んでくれる。

目玉は日替わりで用意される具材だ。キリスト教の慣わしの名残で、金曜だけは魚系の具となる以外は、まるで牛丼のような牛肉と玉ねぎの煮込みの日もあれば、あるいは鴨のコンフィをほぐしたもの、砂肝とアンディーブの煮込みのこともあった。

まさに惣菜のような具が、カウンター脇に置かれた鍋から、温かいまま、その場で切り込みを入れたバゲットに盛られる。煮汁の染み込んだごはんが好きな私にはたまらない。このサンドイッチに、行列ができるのだ。ワイン1杯とサンドイッチを前に、新聞を読みながらカウンターで過ごす客もいる。

一番人気は鴨のコンフィ

そして、3つ目はビストロ。肉料理中心のメニューは、迫力あるリブロースステーキや牛フィレ肉ステーキにフリットなどの定番に、冬になるとポトフやコック・オ・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)が加わる。

日替わり料理で出ることのあるムール貝の白ワイン蒸しとフリットも人気だが、不動の1位は鴨のコンフィらしい。パンチある味を感じることの多い一品も、この店のものは塩気の強さを感じることなく、さらっと食べられる仕上がりだ。



やはり冬にラインナップされるブランケット・ド・ヴォー(仔牛のシチュー)もまた、気づくと食べ終わっているような食べやすさがある。

逆に、がっつり食べたいときには、ステーキを頼むといい。以前は同じ皿に盛られていたが、最近、牛フィレ肉ステーキは、フリットを別皿で出すようになった。肉には存分にソースを絡めて、ポテトは香ばしいままにだ。

店でとられたフォン・ド・ヴォーでつくる胡椒風味のクリームソースを合わせると、私の場合、ソースがあったことが察せられないくらいに、肉だけではなく、ポテトもパンも総動員できれいに拭って食べ終える。

店内を埋めるのは、ヴァンドーム広場の高級宝飾店や界隈のホテルに勤める人たち、食べることもワインも好きなビジネスマンに混じって、国内外からの旅行者もいる。

文・写真=川村明子

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