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2019.06.19

クラウド分野に新ビリオネア、セキュリティの「Crowdstrike」上場で

Lori Butcher / shutterstock.com

クラウド分野から新たなビリオネアが誕生した。6月12日、クラウドベースのセキュリティソフトを提供する「クラウドストライク(Crowdstrike)」がナスダック市場に上場し、CEOのジョージ・カーツはビリオネアの仲間入りを果たした。

クラウドストライクの株価は上場初日の12日に70%の上昇となり、当日の終値の58ドルをベースとした時価総額は110億ドル(約1.2兆円)に達した。CEOのカーツは発行株式の約10%を保有しており、フォーブスは現在48歳の彼の保有資産が10億ドルを突破したと推定した。クラウドストライクの株価は17日時点で、約70ドルに達している。

シリコンバレー本拠のクラウドストライクは、2011年にカーツとDmitri Alperovitchらによって共同創業された。同社は2016年6月、ロシア政府とつながりがあるハッカー集団が、米民主党全国委員会(DNC)のコンピューターに侵入し、当時、米大統領選で共和党の指名を確実にしていたドナルド・トランプに関する情報を盗み出していたことを報告し、一躍知名度を上げた。

クラウドストライクの顧客には決済企業のADPや、ウェブホスティング企業のRackspace、メディア企業のTribune Mediaなどがある。共同創業者のAlperovitchの名は、同社がSECに提出した書類の株主欄には記載されていない。

CEOのカーツは、クラウドストライクを創業する以前は、セキュリティ企業マカフィーの取締役を務めていた。また、1999年に彼はセキュリティ企業のFoundstoneを設立していた。カーツはシートン・ホール大学で会計学を学んでいた。

クラウドストライクは膨大な損失を計上しつつも、上場により巨大な時価総額を誇る企業となった。同社の2019年末までの1年間の売上は2億1900万ドルで、赤字は1億4000万ドルだった。フォーブス記者のDavid Trainorは、クラウドストライクが新規顧客の獲得に、膨大な費用を費やしていることを指摘していた。

同社の広報担当はフォーブスの取材にコメントを避けた。

編集=上田裕資

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