「世界黄金協会」も注目、インドのジュエリー界に今起きていること

ジュエリー・デザイナー、パラヴィ・フォーリー(左)。自身の作品と、ランウェイで:PALLAVI FOLEY


ジュエリーを通して再解釈する「インドの物語」

インドで高い名声を勝ち取った新進気鋭のデザイナーはもう1人いる。パラヴィ・フォーリーだ。彼女のジュエリーは現代的なファッションとハイ・デザインを組み合わせたもので、軽やかで幾何学的なものから、スピリチュアルなメッセージ性を持つものまで幅広い。

「私のインスピレーションの主な源はこの国、インドです。ただ、私はインドを非常に国際的に解釈したいと思っています。インドの物語は奥深いものばかりです。私は、ジュエリーデザインを通してそれらの物語を解釈しているのです」とフォーリー。この国の数々の伝統を現代風に消化したいのだという。

フォーリーはインドのファッションデザイナーや小売ブランドと協力してファッションショーにも挑戦している。ドレスのための、サイズの大きい、存在感のあるゴールドジュエリーのデザインに取り組んでいるのだ。最近ではインドのジュエリーのeコマース「ブルーストーン」と組み、自らのゴールドジュエリーのコレクション「フレイム・オブ・フォレスト(森の炎)」を発表した。


パラヴィ・フォーリーの「フレイム・オブ・フォレスト(森の炎)」コレクション/ PALLAVI FOLEY

彼女が住み、活動しているのは、インド南部、カルナータカ州の州都である「バンガロール」だが、このコレクションは、そのバンガロールに自生するオレンジ色の花「ハナモツヤクノキ(英名Flame of the Forest)」にインスピレーションを受けたものだとフォーリーは語る。

フォーリーは、バンガロールにある2軒のブランドリテールショップのオーナーだが、うち1軒は高級ホテル「ザ・リーラ・パレス」に入っていて、外国人宿泊者に人気だ。彼女には世界展開の野望もある。

「浮かぶ」貴石

現代の高級宝飾品職人はインドにも存在するが、その数は非常に少ない。この道を選んだ数少ない職人の1人がサジル・シャーで、彼はブランド「サッジャンテ」を立ち上げ、ムンバイに拠点を置いた。


「サッジャンテ」の、18金の魚と浮かぶダイヤモンドのイヤリング:ANTHONY DEMARCO

作品はうす暗い壁とスポットライトを駆使したギャラリースペースに展示されている。彼が生む作品は職人の技とテクノロジー、そしてハイデザインを巧みに融合させており、すべてがインド製だ。


「サッジャンテ」を立ち上げたサジル・シャー。自らのアトリエで:ANTHONY DEMARCO

サジルはフィレンツェで学んだ技術を生かして年間40から50もの作品を世に送り出している。フィレンツェでは、有名なジュエリーブランド「ブチェラッティ」などいくつかのブランド向けにジュエリーを制作していた。

得意とするのは、陰影のある仕上げ方法など、フィレンツェのジュエリーに特徴的な技術だ。宝石を乗せる黄金の台枠にはほんのわずかしか金属を使わないので、台枠の内側や外側に配された石からは、まるで「浮かんでいる」ような印象を与える。
次ページ > インドを基盤に世界市場へ

翻訳=松本裕/株式会社トランネット 編集=石井節子

タグ:

連載

Forbes Indiaから

ForbesBrandVoice

人気記事