物議醸す「ディープフェイク」技術 その問題と未来

Mihai Surdu/shutterstock.com


では、対策として何ができるのか? どうすれば、ディープフェイクに対抗できるのだろう? ひとつの手段として、高度なAIや機械学習(ML)を利用するなどして、動画が拡散する前にソーシャルネットワーク内でその動画をいったん留め置いて評価する方法がある。この方法について、ヒーロー・グループのアンソニーCEOは、何らかの透かしを入れることを提案している。

「認証方法をどのように技術的に開発するにしても、こうした投資にはかなりの額を要するが、それでも必要なことだ」とアンソニーは言う。「シリコンバレーとテック企業は急速に成長しキャシュフローを黒字にすることばかり考えており、今後もこうしたセキュリティーへの投資に抵抗し続けるだろう」

それでも、ディープフェイクに対して広がる恐怖は大げさなものかもしれない。むしろ、最近のザッカーバーグやペロシの事例が警鐘となり、建設的なアプローチが促されるかもしれない。

シフト(Sift)のジェイソン・タンCEOは「現状として、ディープフェイクの使用や影響については、たくさんの感情論がある」と言う。「また、恐怖心に大きく基づいたものでもある。(ディープフェイクという)言葉自体にも不穏で悪意のある響きがあるが、実際には『超現実的』であるというだけだ。ディープフェイクは市場にイノベーションをもたらす可能性があり、完全な悪として一蹴すべきではない。それが持つポテンシャルについても考えるべきだ」

編集=遠藤宗生

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