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2019.06.19 09:00

入場料3倍でも客足増加。小豆島「妖怪美術館」のV字回復の舞台裏


リニューアルで意識した「3つのこと」

成瀬:特に大切にしたのは、3つあります。1つめが、“ここにしかない体験”をつくること。2つめが、“心のお土産”をひとつ、持って帰ってもらうこと。最後が海外の人にもちゃんと対応をすることです。

“ここにしかない体験”が、観光において最も大切。その点、妖怪造形作品が800体も集まるのは、ここしかない。昔の妖怪を展示するところはあれど、現代の妖怪を今に生きる人たちが作り続けており、まとめて見られるのはここだけです。それを「平成妖怪図鑑」と名付け、群として見せることにしました。また“心のお土産”については“妖怪はいない、あるいは見えないだけかもしれない”というコンセプトのもと、オーディオガイドで妖怪が話しかけるように仕組みにしました。ガイドを聴きながらすべてを巡ると、最後にはそれぞれで異なる妖怪像が出て来る。多面的に解釈ができる余白を残すことで、人によって感じ方が変わります。そうすると、ここで体験したことを人と話し合えるし、忘れないし、妖怪と聞いいたときに「妖怪美術館」を思い出すと思ったんです。



また、瀬戸内芸術祭で海外の人たちに対応しているところは意外と少ない。こんなに海外観光客が増えているのに、ですよ?妖怪のことを体系的に伝えていくためには、その意味を知る、物語を知ることが重要で、それによって結果的に見え方が変わります。自国の言葉で理解できるよう、ネイティブの英語ライター、中国語ライターに入ってもらい翻訳しました。

佐藤:こうした取り組みで、リニューアル後、前年比で観光客が3.6倍、売り上げがなんと11倍になりました。
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文=新國翔大 人物写真=Marco Vinicio Huerta Osuna

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