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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


MeiPAMが持っている独自の強みは何か。僕たちが迷路のまちで展開しているレストランやカフェ、お土産屋さんは他もやっていること。MeiPAMしか持っていない強みは、数ある事業のひとつとして2013年から細々と続けていた「妖怪造形大賞」だったんです。これは、世界中から“現代の妖怪“造形(フィギュア)を集めて、審査員が評価するコンペ。過去5回実施して、今は作品が800体集まっています。当然、大事な事業として認識してはいたのですが、どこか傍らの事業として運営している部分もあって。「妖怪造形大賞」で生み出された妖怪造形作品は「モノノケ堂(現在の3号館)」にまとめて展示していただけだったんです。

ただ、よくよく考えてみると妖怪造形作品が800体も集まっているのは、ここ以外ない。最初は素人や子どもたちが作った玉石混交の妖怪造形作品を誰がお金を払って観に来るのか、と思っていましたが、実はそのこと自体がコアコンピタンスだったんです。作品単体ではなく“作品群”として捉えることで模倣困難性を構築することができるし、これは圧倒的な強みになると思いました。また、妖怪は多神教の精神性を象徴する日本独特の文化で、他にはないもの。その頃から考えが切り替わり、現代の妖怪をテーマにやっていったら面白いんじゃないか。大衆芸術的に見せていくことが良さそうと思ったのが、「妖怪美術館」誕生のきっかけです。



成瀬:そのタイミングで一度、入館料を上げられたんですよね。

佐藤:そうです。1000円から2000円に上げてみました。個人的に美術館側と入場者側で情報の非対称性があることに課題を感じていて。紙や口頭で展示内容を伝えても、きちんと伝わらない。実際に入って見てもらわないとダメなんですよね。説明しても伝わらないし、映像で見せても全部は伝わらない。少し前に展示内容が気に入らなかったら、全額返金する取り組みをやってみたんですけど返金するお客様はいない。でも、本当に満足されたかどうかは分かりませんでした。

そこで非対称性を解消するひとつの要因として、価格がカギになると考えたんです。例えば、1杯のビールも居酒屋では600円だけど、ホテルのバーでは1000円になる。場所によって価格が異なりますし、価格によって満足度も異なる。それで思い切って2000円にしてみたんです。そうしたらお客様の表情も変わってきたし、反応も変わった。

価格が1000円だった頃より、それほど説明しなくてもすんなり「分かりました、入ります」と入っていただけるようになり、その結果、入館者数が120%アップしました。それが2018年2月頃ですね。その後、のぼり旗をつくったり、チラシを配ったりしていく中で、2018年の12月頃に成瀬さんと出会い、リニューアルのプロジェクトについて話が始まっていきました。

文=新國翔大 人物写真=Marco Vinicio Huerta Osuna

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