チャイナタウンのオフィスはロンドンにおける同社の3つ目の拠点だ。これまでの2拠点の収容人員のキャパシティが超えたため、フェイスブックは新たなオフィスを開設した。ソーホー地区のシャフツベリー・アベニューにある新オフィスは、同社のエンジニア部門の中核を担うことになる。
室内にはテック企業でおなじみの卓球台もあれば、壁は英国のビクトリア朝と中国風の飾り付けを融合したデコレーションで飾られている。また、オフィス周辺は広東料理のレストランが密集しており、出来たての点心やローストダックが楽しめる。
フェイスブックの英国での従業員数は2018年末時点では2300人だったが、2019年末には3000人まで増加が見込まれる。そのうち1800人はテクノロジー関連の人材だという。また、新規採用者のうちの100人はAI関連の人材になる。同社にとって直近の最優先課題が有害コンテンツの除去であり、この分野に対応する多くの人材を新たに雇用する。
フェイスブックの欧州及び中東、アフリカ部門を統括するバイスプレジデントのNicola Mendelsohnは声明で「利用者が安全に当社のプラットフォームを利用できるようにすることが、最も重要な課題だ」と述べた。
「数百人もの人員を英国で採用することは、当社がイギリスを重視していることを示すだけでなく、当社が顧客のプラットフォーム上での活動をいかにセキュアに保つかという点に注力していることの現れだ」
フェイスブックがロンドンで人材獲得に乗り出したという報せは、現地のフードデリバリーのスタートアップ「デリバルー(Deliveroo)」やソフトバンクが出資するVR/AR関連の「Improbable」らの脅威になるかもしれない。
シリコンバレーの大手はロンドンのスタートアップの優れた人材を、高額の報酬と引き換えに引き抜くことも珍しくない。今回のフェイスブックの新オフィス開設のニュースは、テック業界のカンファレンスであるLondon Tech Weekの開催に合わせて行われた。
ロンドン市長のSadiq Khanは声明で次のように述べた。
「フェイスブックがロンドンに多額の出資を行うことは喜ばしい。私自身もテック企業は問題のあるコンテンツの排除を進めるべきだと考えていた。これは非常に良い報せだ」