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Forbes JAPAN 6月号では、“100年「情熱的に働き、学び続ける」時代”と題した特集を掲載。そのなかで、世界を股にかける5人の有識者たちに「私たちはどう働き、学んでいくべきか」を問うた。そこで挙げられた「5つのキーワード」。今回は前編として、そのうちの3つを有識者らの話とともに紹介する。


「アーティスト・イン・カンパニー」を提案

大家雅広 博報堂ミライの事業室ディレクター

オーストリア・リンツ市にあるテクノロジー×アートに関する世界的文化機関アルスエレクトロニカと2011年から協業し、企業の課題に向き合ってきました。ここ2〜3年はイノベーション推進に関わる日本の大企業からの反響が大きく、「アートシンキング」がいかに必要とされているかを感じています。短期的な問題解決よりも、事業や組織のあり方を根本から捉え直し、未来志向で問題提起する思考だからではないでしょうか。

アルスエレクトロニカの小川秀明氏らとともにここで提案したいのが、「アーティスト・イン・カンパニー」というコンセプトです。「アーティスト・イン・レジデンス」は、アーティストが地域に深く入り込み、地域と関わりを持ちながら作品を創り上げる活動として知られています。作品制作の過程で、アーティストが触媒となり、地域の隠れた魅力を顕在化させ、市民活動が起こるきっかけにもなります。「アーティスト・イン・カンパニー」も同様で、企業の中でアーティストが触媒となり、これからの社会に対する存在意義を問うことや、豊かな生活につながるイノベーションを起こすきっかけになると考えています。

近年、アルスエレクトロニカに集まるアーティストの作品を見ると、バイオテクノロジーやAI、IoTといった技術と人間社会との関係を問うものが多く見られます。こうした技術進化は、産業や生活の可能性を広げ、多くの利益をもたらす一方で、倫理観を揺るがす議論も起こします。アーティストたちは優れた感性で、最新技術について新たな活用方法や体験、生活像を提示し、一方で警鐘を鳴らします。未来の産業のあり方が不確実で見えにくい時代だからこそ、アーティストたちとの関わりを産業界が持ち、企業のビジョンづくりや中長期的な戦略づくり、創造的人材の育成につなげていく必要があります。

そして、究極は企業のリーダー層や、イノベーションに関わる一人ひとりが未来に向き合うアートシンキングを持ち、組織全体を創造的にすることを目指すべきではないでしょうか。私が所属する博報堂も「ミライの事業室」という組織を19年に新設し、創造性ある企業や人々をつなぐ触媒として働き、アートシンキングを持った人材を日本の産業界につくることに貢献していきます。

文=Forbes JAPAN編集部

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