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2019.06.17

ウーバーやリフトの「車内エンタメ」の覇権狙うSurfの挑戦

metamorworks / shutterstock.com

「航空機の娯楽システムのライドシェア版」と呼ばれる「Surf」のビジネスが好調だ。同社は、リフトやウーバーの車両にインタラクティブなタブレットを置き、乗客に動画コンテンツや音楽などを提供している。

Surfは、2018年にアリゾナ州で設立された。創業者のEli Chmouniはレバノンからの移民で、19歳で米国に渡った際の所持金は600ドルだったという。

同社は、乗客に娯楽を与え、企業やブランドの宣伝を行うだけでなく、ドライバーの収入を増やすことも目指している。Surfはタブレットを無償でドライバーに提供している。

しかし、乗客の大半はスマホやタブレットを所有しているのに、わざわざSurfのタブレットでコンテンツを視聴するのだろうか?

「統計によると、米国では成人の約75%がマルチスクリーンに慣れている。つまり、多くの人はネットフリックスを視聴しながらパソコンやスマホを利用しているのだ。スマホがあるからといってネットフリックスが不要なわけではなく、消費者は複数のスクリーンを同時に楽しむことを求めている。車内でも同じことが言える」とChmouniは話す。

「乗客は、Surfのタブレットを操作して好きな音楽を選んだり、経済ニュースを視聴することができる。コンテンツは常時アップデートされており、朝と夜では内容が異なる。また、地域ごとにコンテンツをカスタマイズし、乗客の嗜好に合わせている」とChmouniは話す。

「現在、我々のサービスは10都市に拡大し、数千台の車両にタブレットを導入している。我々はドライバーにタブレットを提供するだけでなく、毎月報酬を支払っている。ドライバーの多くは、乗客から5つ星の評価を得る機会が増え、チップも増えたと喜んでいる。彼らの収入は、毎月平均80〜100ドル増えている」とChmouniは述べた。

Surfによると、毎月30万人もの乗客が同社のタブレットを利用しており、47%が18〜29歳で、66%が年収7万5000ドル以上だという。また、男女比はほぼ半々だという。

「乗客の42%がタブレットを操作し、1回の乗車で約2本の動画を視聴している。このデータは、我々のサービスに価値があることを証明している」とChmouniは話す。

海外進出も視野に

Surfは、同社限定のオリジナルコンテンツと、既存のコンテンツの両方を提供している。「多くの場合、我々はコンテンツクリエイターと独占契約を結び、当社限定の作品を制作してもらっている。提携するクリエイターは、ユーチューブのチャンネル登録者数が500万人以上であることが条件となっている。彼らにはコンテンツの視聴数に応じて報酬を支払っている」

Surfはこの1年で米国内のサービスエリアを急拡大しており、今後は海外進出も計画中だ。

「欧州から営業ライセンスの要望がきている。我々が長い時間をかけて開発した優れたテクノロジーを、他の地域の人も求めるようになっている」とChmouniは言う。

「米国内では、今後12ヶ月以内に8都市に進出する計画だ。既にサービスを展開している地域でも、タブレットの導入数を増やしていきたい」とChmouniは語った。

編集=上田裕資

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