テスラで約6年間に渡り、オートパイロット部門に勤務してきたZeljko Popovicは、サンフランシスコ本拠のEmbarkの自動運転テクノロジーの開発部門に移籍するとEmbarkが発表した。
PopovicはEmbarkの最高技術責任者(CTO)であるブランドン・モックの直属の部下となり、カメラやLiDARセンサーの精度の向上を行うほか、マッピングやローカライゼーション、マシンラーニングの強化を担うことになる。
Embarkの共同創業者でCEOのアレックス・ロドリゲスは声明で「ビッグデータを収集し、アルゴリズムやマシンラーニングを鍛えるために精緻なデータは必須のものだ。当社は20019年に入り、自動運転トラックの台数を5台から13台にまで増やした」と述べた。
アルファベット傘下のウェイモや、GMのクルーズが混雑した都市部にロボットタクシーを導入しようとしているのとは対照的に、Embarkの車両はハイウェーの走行に特化している。都市部とは違い、ハイウェー上では歩行者やバイクのような障害物に遭遇する可能性は低い。
また、ロジスティクス分野では人間のドライバー不足が深刻で、自動運転の導入により大きな経済的インパクトが見込める。Embarkのテクノロジーに関しては、2019年1月に掲載した記事「 23歳で50億円調達「自動運転トラック」で米国を変える起業家」を参照して頂きたい。
フォーブスの「30アンダー30」出身のロドリゲスやモックらが2016年に設立したEmbarkは、これまで累計4700万ドル(約51億円)以上を調達しており、公道上でこの分野で最も長いテスト走行距離を達成しようとしている。
同社は2018年2月、米国の西海岸から東海岸まで約3800キロの道のりを、自動運転トラックで走破して話題となった。Embark は以前の報道では、18台の自動運転トラックをフェニックスとロサンゼルス間で走らせており、顧客には大手家電メーカーのエレクトロラックス(Electrolux)らも抱えている。
ただし、自動運転分野では競合も多く、ウェイモがフェニックス郊外でロボタクシーの試験運用を開始したほか、「TuSimple」も米国の郵政公社のパイロットプログラムを先日実施したばかりだ。トラックの自動運転分野にはシリコンバレー本拠の「Ike」や「Starsky Robotics」「Kodiak Robotics」などの競合もいる。
テスラに在籍時にPopovicは、米国のハイウェーの高精度の地図データや、ローカライゼーションの業務を担当した。彼はまた多様なセンサーから取得したデータを統合的に管理する、フュージョンシステムの開発にも携わった。自動車業界のエンジニアとして豊富な経験を持つPopovicは、テスラに入社する前に、ホンダやコンチネンタル、Visteonなどに勤務していた。
Popovicがテスラから離脱することは、6月13日にCNBCが伝えていた。