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2019.06.21

電通も出資、小学館xDeNAの新生「MERY」のメディアを超えた可能性

MERYに出資した電通の増田氏(左)とMERY砥綿氏


記事制作プロセスを刷新、毎日約80本の新規記事

MERYアプリを開くたびに驚くのが、常にトップの記事がリフレッシュされていることだ。1日の記事本数は平均80本という。かなりの配信頻度である。

MERYによると、ユーザーがアプリを開く頻度は1日平均2回以上になるという。「開くたびにまた違うMERYが読める、ユーザーさんにそう思ってもらいたい」と砥綿氏。


MERYアプリの画面

MERYはかつて、画像などの著作権侵害や記事の制作プロセスが問題であるとの指摘を受けた経緯がある。どのようにして克服したのか。

新生MERYは100人の「公認ライター」が執筆している。彼女たちが執筆に励む部屋に通してもらった。明るい室内。読者と同世代と思われる、ファッショナブルな装いの女性たちが、熱心にPCを叩く。

MERYの砥綿氏によると、彼女たちが書いた記事を、校閲担当者が確認し、さらに編集者が確認して、OKを出した記事のみ配信されるプロセスになっている。いずれも小学館での経験者だ。記事内容や写真の許諾などを総合的に確認し、修正が必要であれば彼女たちに戻す。彼女たちは指摘を受けて原稿を整え、再挑戦する。

「実はこのプロセスが大変で、当初は記事がなかなか出なくて苦労しました。ライターのマニュアルや採用基準など、小学館のノウハウを生かして編集体制を整えています。改めてチャンスをいただいているので、記事制作や確認にかかるコストは当然だと思っています」と砥綿氏。

1年半で15万件の掲載確認、ファン増に貢献

1本の記事の分量はたっぷりしており、1記事につき写真は15枚程度と多い。インスタグラムにアップされた写真が使われていることが多いが、1枚1枚、許諾の担当者から写真掲載の連絡を取り、必ず許諾を得てから掲載しているという。その数、この1年半で15万件。

「実は元々、権利確認はかなりのコストだと思っていました」と話す砥綿氏だが、「『この画像を記事に使ってもいいですか』と15万件の許諾をいただく中で、写真を貸してくださった方とのコミュニケーションが財産になっていることに気がつきました。『写真が掲載されました』と記事のURLを紹介してもらえることが数多くあります。MERYのファン増につながったんです」と思わぬ効果を紹介した。
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文=裵麗善(ぺ・リョソン)、林亜季 写真=田島雄一

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