Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2019.06.26

東京の中心で働き方改革を叫ぶ。日本的働き方の処方箋

左から藤原氏、安武氏、谷本副編集長、ピョートル氏、荻島氏

6月11日。東京・銀座でビジネスリーダー層約100人が集ったのは、Forbes JAPANと生産性向上のための働き方改革プラットフォームを運営するチームスピリットが合同で開催したイベントだ。

「『働き方改革』の本質を突く、新・日本流、クリエイティブな働き方」とのタイトル通り、まさしく働き方改革の本質的な議論がなされ、熱量の高いイベントとなった。



スピーカーとして招いたのは、このテーマを語るに相応しい3人。元グーグルの人事担当であり、プロノイア・グループ代表のピョートル・フェリクス・グジバチ氏、楽天元取締役のJunify安武弘晃氏、チームスピリットの荻島浩司社長。Forbes JAPANの谷本有香副編集長がモデレーターを務めた。

「今ほどベンチャーがこんなに変化している時期はありません」。チームスピリットの荻島氏が口火を切った。「私はITの会社を1996年に設立し、20年以上ベンチャー業界にいます。当時は『脱サラ』と言っていました。今やデジタルトランスフォーメーションが進み、ついていくだけで大変。少子高齢化など課題も山積です。今こそ、これからの働き方、そして生き方につながる話をしましょう」

あなたの市場価値、考えたことはありますか?

第1部では、「元グーグルHRが語る、日本的働き方の問題点と処方箋」と題し、ピョートル氏が自身の経験とグローバルの観点から、課題をあぶり出した。

「みなさん、社員としての市場価値を考えたことはありますか? 今日会社が潰れたら、明日どうしますか。楽しんで次の仕事に進めるか、それとも『参ったな』と落ち込むか。後者だったら、考え直さないといけません」。ピョートル氏が問いかけた。

「『あなたは何ができますか?』『部長ができます』これではダメですね」と谷本。人材育成について、日本企業の課題を問うた。ピョートル氏はこのような数字を挙げた。「ある調査によると、日本人の中で『会社に行きたい』という人は38%。エンゲージメントが低い理由として、経営に問題があります」

それでは経営の問題とは何か。「経営者は最大限の価値を最低限のコストで生み出す仕組みを作っています。しかし、日本のサラリーマンを見ると、最低限の努力で最大限のボーナスを手に入れるために動いている」



ピョートル氏によると、会社のビジョンやミッションが定義されていない、定義されていても社員に伝わっていない、また結果を出せるチーム作りやタイムマネジメントができていないなど、一般的な日本企業の課題は多い。「社員が自ら経営者のように考え、いかに楽しんで最低限のコストで最大の結果を生み出すかを考えられる組織を目指すべきです」と呼びかけた。

もはやバズワード、「働き方改革」に必要なのは「雑談力」?

谷本がズバリ尋ねた。「今やバズワードにもなっている『働き方改革』って一体何なんでしょうか」。ピョートル氏は、「そもそも働き方改革=リモートワークという考え方は見直すべきだ」と言う。

フレキシブルな働き方を実現するうえで、リモートワークは一つの大事な手段である。一方で、本当に働き方改革を実現できる組織づくりの土台として重要なのは「クオリティの高いコミュニケーション」だという。

「会社は結局人の集まり。会社に対して、上司に対してどんな思いがあるのか、また仕事が楽しい、楽しくないとか、ミッションやビジョンに関係する対話ができないとクオリティのあるアイデアが生まれない。大事なのは『雑談力』です」

グーグルでは、米国と日本のメンバーでオンラインでの「リモート飲み会」をやっていたという。この事例には、参加者も驚いた様子だった。一方でグーグルでは、リモートワーカーに対して四半期に一度会う機会を作るなど、直接のコミュニケーションにも重きを置いており、会社外のリフレッシュした状況で議論する「オフサイトミーティング」も重視していたという。いずれも組織のポテンシャルを上げる「雑談力」を高めるための手段である。

新しい価値、新しい思考を生み出すために、世界に目を向ける

北欧視察帰りというピョートル氏。欧州では、「GAFA」に代わるスタートアップやエコシステム、新しい価値を生み出そうという機運があり、アジアでも同様の動きが見られると話す。欧州では特にEUの将来が不安視されているだけに、個人がもっと情報に対して貪欲であるという。

「もっと日本人はグローバルの中に自己認識を持ち、国際情勢や地政学を知り、自分から欲しいものを獲得しようとするマインドが必要ではないか」との言及には頷く参加者も多かった。

社内LANを自宅まで…思い切り働きたい人には、自由度を上げればいい

第2部では「グローバルから見た『働き方』最前線、実践へのチューニング」と題し、ピョートル氏、安武氏、荻島氏、谷本が登壇。前段の課題感を踏まえ、より実践的なソリューションを提案した。



元楽天の安武氏は、当時の衝撃的な働き方や、同社の働き方の変化を語った。後に楽天CTOも務めた安武氏は創業前から楽天を手伝っていたという。「当時、社内LANを延長して自宅に繋ぎ、家でプログラムを書いていました。その後、社内で英語が公用語となり、欧米の方が入ってくると、彼らは夜中までは働かないので、日本人社員もつられて早めに帰るようになりました」

谷本が問う。「日本における『働き方改革』って結局、何なんでしょうか。生産性、効率性、多様性……。そして幸せ。どんな風にお考えでしょうか」

荻島氏はこのように問題提起した。「これまでは今までのやり方はそのままに、実は残業時間を長くし、遅くまで働くのが、企業が成果を上げ個人が給料を上げる一番の方法だったんですよね。一方で4月に働き方改革関連法案が可決されました。労基法の改正が中心ですが、一方では残業時間が規制されるということで、働き方の本質を変えないといけない」

安武氏は「私は働くのが好きで、思い切り働きたいのだけど、強制されるのは好きではない。働きたい人には自由度を上げればいい。個人への裁量、個人への権限を会社から移譲した方がいいと思います。忙しいけどフレキシビリティがあって、自分で選択できるのが大事」とした上で、「会社には生産性を上げて、給料を上げるということが抜け落ちていませんか」と訴えた。



健康や家族、それから仕事がある。現実を直視しよう

安武氏がよく話すのは、まず健康があり、そして家族があり、それから仕事があるということだという。「健康や家族より優先すべき仕事はない。どうやって一人一人の満足度をあげながら、利益を改善するか。健康や家族が仕事とトレードオフになったり犠牲になったりしてはいけない」。そう強調した。

「現実を直視すべきです」と語ったのは荻島氏だ。「月間の労働時間は一般的に160時間。そこでそれなりの生産性を上げるには、単価を倍にしないといけない。そのためには価値をつくらないといけない。価値をつくるためには、働く人にちゃんと金の卵を産んでもらわないといけない。働く時間を見える化して、優先順位をつけ、時間を作った上で次の生産性を上げることを準備するんです」



この点に関連し、チームスピリットの新サービスも発表された。社員の業務時間の「質」を上げるため、間接時間削減と創造する時間のマネジメントにフォーカスした勤怠・工数・経費精算クラウドサービス「TeamSpirit WSP」だ。

同社ディレクターの藤原秀樹氏は、クリエイティブ組織に変革する3つのポイントとして、1、経営ビジョン、2、制度と文化、3、社員のタイムマネジメントを挙げ、3について飛躍的に向上させることができるサービスであると説明した。



参加者の関心も高く、スマホを構え、スライドを撮影する様子が見られた。

それでは、どうすれば生産性を上げられるのだろうか。
「激しく共感するのは、『見える化』が重要だということです」とピョートル氏。「全てにおいて賛成。数値化し測定しないと改善されているかどうかがわからないんです」と安武氏。

安武氏によると、かつて楽天社内で、増えた会議を「8分の1」に減らすというプロジェクトがあったそうだ。まず参加人数を半分にし、開催頻度を半分にし、開催事案を半分にする。それを掛け合わせれば8分の1となる。まさにそれを実践したというのだ。

「楽しい」「対等」「いつ死ぬか」……結局、個としてどう生きるか

議論を通じて、荻島氏は登壇者同士の共通項を見出した。「働くことが楽しい、もしくは楽しいことを仕事にしているということです。多分、我々には働き方改革は必要ないですよね。やりたいことを仕事にしていくのが一番の働き方改革。究極はそこかなと思います」

個人の働き方として、「私は副業に大賛成です」と話したのは安武氏。「死ぬまでの有限の時間を最大化するべきです。一つの仕事に全財産を投資すると、その仕事がなくなったら100が0になってしまいます。分散投資のように、10の仕事を持っている方が雇用主と対等になれると思うんです。働く人と、雇用主との間が対等になるべきです」

ピョートル氏も個人の生き方についてこのように論じた。「いつクビになるか、いつ死ぬかというのが大前提です。その上で、いかにリソースを最大限に投資して価値を生み出すか。そんな考え方が大事ですよね」



「結局、働き方改革というのは、企業ではなく、『個』の改革だと思いました。個の強み、幸せ、個人のやりたいことを引き出すこと。大企業が倒産し、フリーランス思考がわかりやすく広まっています。結局、『個』の可能性をいかに引き出すかが、成功の鍵なのではないでしょうか」谷本はこのようにまとめた。

TeamSirit WSP
https://go.teamspirit.com/wsp

Promoted by TeamSpirit / Text by Aki Hayashi / Photo by Rang

ForbesBrandVoice