ボーダーレスな時代のトートバッグ | 紳士淑女の嗜み

モロー・パリの「ブレガンソン」


小暮:プリントの模様は、フランス伝統の柳編みをモチーフにしているそうです。19世紀、馬車で移動するため、軽量なトランクをつくるために、柳編みの構造を用いた歴史がこのブランドにはあります。このモロー・プリントは柳編みの模様をレザーにスクリーンプリントする手法を使い、現代に甦らせました。

森岡:ハンドルなどのステッチは手縫いですね。革のコバ(=裁断面)の仕上げも美しい。



小暮:丁寧につくられている証拠です。トランクメーカーに出自をもつ伝統を感じます。

森岡:革も厚いですよ。2mm以上あるのでは。これをきれいに縫い上げるのはさぞや大変でしょう。

小暮:バッグ底面の1本縫いもすごい迫力。この縫い方を見ただけで、男たちはこのバッグに惚れてしまいます。何でもこれはバッグを肩から掛けたときに、脇の下にスッキリ収まるようにと考えられたそうです。この縫い方によって、見た目以上にコンパクトに使える。機能性も十分考えられているわけです。

森岡:このモデルはジップで開閉できる蓋付きです。バッグの中身が見えないので、ビジネスシーンや旅行にも適しています。ストラップで取り外しができるポーチまで付属しています。カードや鍵など、携行品を入れるのにこのポーチは便利でしょう。

小暮:“機能性の美”がブランドの信条だと聞きました。かつて旅行に適するようにと、軽量な柳編みのトランクを開発したブランドですから、実用性や機能性をも考える精神がブランドの根底にあるのでは。

森岡:女性が使えばエレガントに見え、男性が惚れる魅力ももっている。さらにビジネスでもカジュアルスタイルでも似合うユーティリティをもち、伝統を継承するクラシックさと職人技を備えながら、現代のライフスタイルに適したモダンさも薫る。

小暮:だから、すべてがボーダーレスなトートバッグというわけですね。

photograph by Masahiro Okamura, text by Masahiro Kogure, fashion direction by Hiroshi Morioka, illustration by Bernd Schifferdecker, edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN 100年「情熱的に働き、学び続ける」時代」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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