ビジネス

2019.06.17

アディダスが「100%リサイクルシューズ」を発表 環境問題解決の牽引者となるか

アディダス ジャパン CSRシニアマネージャーのアンジェラ・オルティス


今はまだ、フューチャークラフト.ループが目新しく、一見すると流行りに乗った一時的なものに見えるかもしれない。しかしアンジェラは「このシューズは決して特別なものではありません。あくまでも、私たちが日常履いているスニーカーと同じ普通のもの。

これからはこれをレギュラー商品として販売し、広く浸透していくこと目指しています」と話す。これは単なるCSR活動の一環でもなく、絵に描いた餅でもない。

日本コカ・コーラとセブン&アイグループは今年6月5日、同社グループの店頭にペットボトル回収ボックスを設置し、リサイクルボトルのみを原料とした再生ペットボトルの投入を発表。日清食品が販売するカップヌードル容器は、2021年までに81%植物由来プラスチックに切り替わり、今年6月6日にはカゴメやサッポロなどが加盟する日本TCGFが加盟企業全体で「プラスチック廃棄物問題」の解決に向けて推進していくことを発表した。

アパレル業界でも同じように「サステイナブル・アパレル・コーリション」、通称「SAC」という業界同盟が2010年から存在。SACは、環境に対する影響などを図るための基準を検討するために設立された。ここにはアディダスのみならず、老舗デニムブランドのリーバイスや多くのラグジュアリーブランドを保有するも加盟する。

このように、様々な領域の企業たちが立ち上がり、時には結束して環境問題に取り組む姿勢を表明しているのだ。

今回アディダスが発表したフューチャークラフト.ループに代表される「サステナブル事業」は、単なる同社一企業だけの取り組みにとどまらない。

広く視野を広げてみると、環境問題に「経営課題のひとつ」として取り組む企業が増えてきている。アンジェラが話した、冒頭の「コレクティブ・インパクト」とはまさにこのこと。

いち早く環境問題にビジネスとして着手し、グローバルに展開するアディダスは、その規模と推進力を持ってコレクティブ・インパクトのムーブメントを牽引する存在となるのか。「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の実現に向けた挑戦は、まだまだこれからだ。

文=石原龍太郎

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