新たに実施された調査によれば、消費者は自動車を選ぶとき、燃費のよいモデルを選んだ際に長期的に低減できる燃料代を、実際よりかなり低く見積もっている。そのため、燃料代を低減できる車に対して、実際の価値よりはるかに少ししか払おうとしない。
こうした調査結果は、自動車メーカーに難題を突きつけている。各社は、燃費を向上させるか、あるいは、大型で燃費は悪いが儲けの多いモデルの製造か、という選択にたびたび迫られている。
詳しく説明しよう。
全米経済研究所(NBER)が公開した今回の調査から、自動車購入者は、「消費する燃料が減ることで将来的に節約できる金額」と、「燃費のいい新車に余分に払う金額」を比べた場合、前者を重視しないことが明らかになった。
研究者に言わせれば、今回の結果は、「燃費の経済的価値が大幅に過小評価されていることを示唆」している。
この報告書「Consumer Myopia in Vehicle Purchases: Evidence from a Natural Experiment(自動車購入時に消費者が示す視野の狭さ:自然実験による証拠)」では、「2011年から2012年にかけての年式の場合、将来的に燃料費が1ドル割安になることと、前払いする自動車購入費が0.38ドル増えることの関係について、消費者は無関心であることがわかった」と述べられている。
言い換えると消費者は、将来的に節約できる燃料費1ドルに対して、現在の自動車購入時点で多めに払おうとする金額は0.38ドルにすぎないという。もう少し具体的に説明すると、平均的な自動車購入者にとって、将来の1000ドルの燃料費節約は、現在の自動車価格に380ドルを上乗せする価値と同じであることを報告書は示している。
この調査は、イエール大学、ペンシルバニア大学ウォートン校、チューリッヒ工科大学エネルギー政策・経済学センター(Centre for Energy Policy and Economics ETH Zurich)の研究チームによって実施された。
研究チームが結論を導き出すために使用したのが、2011年8月から2014年6月までの「アメリカ国内の新車全取引」データだ。