「100フィート問題」の克服を目指す ドローン配達に乗り出したウーバーの目論見

ウーバー・イーツのドローン配達用の箱


ウーバー・イーツがさらなるイノベーションを求めて手を組んだのが、ウーバー内で進んでいる”空飛ぶタクシー”こと新事業「ウーバー・エアー」のウーバー・エレベートだ。ウーバー・エアーで開発中の空の移動システムに目をつけ、ドローンでの配達に挑戦する。協業相手に選んだのは、サンディエゴ市とマクドナルドだ。

「ドローン配達により顧客体験をさらに改善でき、ウーバーのプラットフォームを拡大できる」とMeyerdirkは狙いを語る。

ウーバー・エレベートのフライトオペレーション担当トップLuke Fischerは、ドローンによる配達が新しいアイディアではないことを認めながらも、「時間がかかった理由」のひとつに都市部での配達を挙げる。現在のドローン配達の多くが郵便ボックスを利用したり、裏庭を利用したり、パラシュートで落とすなどの方法があるが、これらは都市の集合住宅に住むユーザーに届ける技術とはいえない。

そこでやはりウーバーのプラットフォームを活用して、「“最後の100フィート(約30メートル)”問題を克服できる」とFischerはいう。

ウーバー・イーツの流れとしては、顧客がウーバー・イーツアプリからマクドナルドのフードを注文、マクドナルド側では通常通りに準備して、専用の箱に入れる。箱はドローンの底に接着する専用の箱を使う。

ドローンの準備ができると、エレベートのクラウドサービスからの操作によりドローンが離陸、同時に予定しているデリバリースポット近くの配達パートナーに連絡がいき、ドローンがウーバー・イーツの車の上に着陸すると配達パートナーが顧客のところまで届けるという流れだ。シミュレーションのアニメーションでは注文から8分で完了するとしていた。


ドローンはウーバー・イーツの車の上に着陸、最後は人が顧客に届ける。


実験を映したデモ。ドローンが車の上に着陸するところ。ここでは商用のドローンを利用している。

レストランと顧客側は行動を変える必要はない。間にドローンを挟むことで、遠隔まで届けることができるようになり、レストランがカバーできる範囲は格段に広がる(=顧客はこれまで頼めなかった遠方のレストランでも注文できる)。

マクドナルドのようなチェーンだけでなく、ジュニパー & アイヴィのような地元のレストランもリーチを拡大できるとFischerは語る。


ドローンにより、サンディエゴのマクドナルドはリーチできなかった顧客(緑)にもリーチできるようになる。

もう1つの障害が、規制だ。ウーバーは今回、連邦航空局(FAA)が進める「UAS統合パイロットプログラム」を利用し、同プログラムに参加しているサンディエゴ州と手を組むことにしたという。Fischerは同時に、FAAより航空事業者として認可を受ける最終段階にあることも明らかにした。


会場に展示されていたウーバー・イーツの車とドローン

ドローン配達実験はマクドナルド1店舗、ドローン3基でスタートする。ドローンは専用に作成したものだが、メーカー名などは非開示。現時点での予定として、2020年から実験を拡大し、2021年には正式サービスにしたいとFischerは述べた。

文・写真=末岡洋子

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