「100フィート問題」の克服を目指す ドローン配達に乗り出したウーバーの目論見

ウーバー・イーツのドローン配達用の箱

日本でも浸透しつつある「ウーバー・イーツ(Uber Eats)」が、今年中に米国でドローンによる配達の実験を開始する。競合激しいフードデリバリー市場だが、折しもアマゾンが同様のサービス「アマゾン・レストラン」を終了することを発表したのと同じタイミングでの発表となった。

ウーバーはまた一つ、差別化要因を加えることができるのか?

ウーバー・イーツはウーバー・エブリシングというウーバー内の組織から立ち上がった最初のサービスだ。ウーバー・エブリシングとは、配車サービスで培ったネットワークとプラットフォームの運用ノウハウを他に応用できないかを探る事業部。

フードが最初の製品となった背景について、ウーバーでウーバー・イーツビジネス開発担当シニアディレクターを務めるLiz Meyerdirkは、「フードは交通・運輸と同じで毎日必要になるもの」と述べる。米国ではミレニアルの3分の1が毎週フードデリバリーを利用するなど、食料品店に行くよりレストランのフードに依存する傾向が強いという。

「2015年以来、アメリカでは食料品店よりも多くレストランの食事に費やしている」と語るMeyerdirk。レストラン、テークアウト、デリバリーの合計のうち、デジタルオーダーが占める比率は2011年の22%だったが、現在51%を占めているという。

ウーバー・イーツは2015年にローンチ。現在520以上の都市で展開しており、参加レストランは22万以上、2018年の収入総額(グロスブッキング)は80億ドルに達している。

一方、この市場は競争がひしめく。米国ではウーバー・イーツは、ドアダッシュ、グラブハブに続く3位となっている。


2019年2月の米国のフードデリバリー市場(Edison Trends調べ)。Uber EatsはDoorDash、GrubHubに続く3位だ。

Meyerdirkが誇るのが「平均の配達時間30分」だ。

「顧客が注文してから食べ物が届くまで30分、これは業界ベスト」とMeyerdirk。利便性がなければ顧客は利用しない。30分という時間は、ウーバーのプラットフォームがあってこそだと胸を張る。「ウーバーのプラットフォーム上にビジネスを構築できることを実証した」(Meyerdirk)。

顧客は利便性だけでなく、食事のチョイスが広がり、コスト効率の良い食事を得られる。レストランのメリットは、顧客のリーチを簡単に拡大できるという点だ。そして、配達業者は柔軟性のある働き方ができたり、ウーバーの優れたナビゲーションを利用できるのがメリットだという。
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文・写真=末岡洋子

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