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2019.06.13

先入観を覆すスーパーSUV、ランボルギーニ「ウルス」の走り

ランボルギーニ「ウルス」


今回のモノコック構造やシャシーは、親会社であるフォルクスワーゲン グループ内のアウディQ7の部品を採用しているが、ランボルギーニの技術者が最終チューニングを行なった。また、650psを叩き出すV8ツインターボ・エンジンの開発はポルシェが主導権を持っているけど、その特別なチューニングはランボルギーニが手がけた。

言うまでもなく、この心臓部がメインディッシュだ。2基のターボがついた4リッターV8エンジンが、8速A/Tとトルセン式センターデフを用いた4WDシステムから生み出す加速のパフォーマンスと安定性は、SUV界の王者と言える。

北海道の一般道しか走らなかったので、全開走行はもちろん無理だったにしても、高速道路の入り口などで数回アクセルをベタ踏みしてみたら、0-100km/hは3.6秒とスーパーカー並みの加速感。しかも、8速A/Tの変速は素早くてシフトショックを感じない。また、ボディ剛性が非常に高い割にはサスペンションはしなやかにストロークをさせながら、不思議なほど安定性が高い。



急加速時でも急ブレーキでも、それにハードなコーナリングでも、ピッチングもロールもほとんど起きない。地上高が高いし車重2.2トンでも、コーナーなどでその大きさと重さを感じさせない魔法を持っている。はっきり言って、コーナーでは物理の法則を破っている感じもした。

阿寒湖周辺のワインディングロードでは、4人が乗っていても気持ちよくコーナーを攻めることもできたし、後部席の2人も車酔いせず、快適に走れた。ブレーキもSUVクラスの最大級なので、ストッピングパワーと効き目は半端ない。

また4ホイールステアのシステムが搭載されているので、3m以上のホイールベースを忘れさせるほどの小回りが効く。こんなに重いSUVはもっとロールしてもおかしくないけど、ランボルギーニの技術者はフラット感を見事に保ちながら、このスーパーSUVにふさわしい乗り心地も可能にした。やはり、4WDと4ホイールステアリングのコンビネーションが効いているに違いない。

6つのドライブモードを選択できるけど、多くのドライバーは「ノーマル」と「スポーツ」を選ぶだろう。「スポーツ」に入れると、アクセルやハンドルがよりクイックになり、エキゾーストノートが猫から野獣に変身する。



この存在感100点満点のスーパーSUVは、パワー、音、安定した動きの凝縮で、それこそが五感を限りなくくすぐるウルスの走りだ。スーパーSUVに乗りたいなら、または2779万円の購入予算が余っていたら、ウルスはあなたの車庫に「飼う」べきだ。日毎あなたに走りに行こうと催促することだろう。

連載:国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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